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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イスラエル映画
ステキな映画でした。 それぞれに思いを抱えた女性たちの物語が、キラキラした優しい光に包まれた、テルアビブの美しい海辺の街で描かれます。 結婚式場で働くウェイトレスのバティア。結婚披露宴の最中に足を骨折した新婦のケレン。 フィリピンからの出稼ぎ労働者ジョイ。 さりげなくすれ違いながら、登場人物たちはそれぞれの問題に向かい合う。 悲しみも、幸せも、悩みも、過去の傷も、、、。 やまない雨はないように、希望の灯は、日常に灯る。 恋人と別れたばかりのバティアは、海辺で浮き輪をつけた迷子の少女を拾う。 両親が離婚してからは、父親とは疎遠で、ボランティアの仕事が忙しい母とは、電話で話すだけの仲。 長い孤独を抱えていた彼女は、両親の見つからない浮き輪の少女に、過去の自分の面影を見る。 この、バティアが感じているそこはかとない孤独は、心にすごく伝わってくる。 足の骨折で新婚旅行がダメになり、市内のホテルに泊まることになった新婚夫婦の物語も忘れ難い。 夫マイケルは、スイートルームに一人で泊まっている謎めいた女性に出会う。 新婦ケレンはヤキモチを焼くけれど、詩人であるという女性の密かな孤独が、後にふたりを驚かせるのだった――― 出稼ぎ労働者ジョイのお話もそうだけれど、みんな、一番身近な人への思いやりを怠ってばかりいるようだ。 一番見ていなくちゃいけないものを、見ていない。 一番守らなくちゃいけないものを、守らない。 それで上手くいかなくなって、つまづいて、孤独に沈むけれど、掛け違えたボタンをひとつずつずらしていくだけで、きっと幸せは近いような気持ちになれるのがいい。 新婦ケレンの綴った、何気ない劇中詩が、とてもステキだった。 たった80分で、この充実。 脚本がいいのもあると思う。役者さんの演技も自然で素晴らしい。 イスラエルという国は、争いの歴史が今もなお続いているけれど、ここ数年で観たイスラエル映画は、ユーモラスなものが多い。 ユーモアのわかる中東の国、っていいね。しかも今度のは、幻想と映像美を駆使していて魅力的。 監督は恋人同士だという、エトガー・ケレットとシーラ・ゲフェン。 現実と幻想の交差する、不思議な全体の雰囲気が大好きでした。 ● ● ● ● 監督 エトガー・ケレット 、シーラ・ゲフェン 脚本 シーラ・ゲフェン 撮影 アントワーヌ・エベルレ 音楽 クリストファー・ボウエン 出演 サラ・アドラー ニコール・レイドマン ゲラ・サンドラー ノア・クノラー (カラー/82分/イスラエル=フランス合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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