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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:ドイツ映画
ドイツ映画にも、こんなに陽気で楽しげな時代があったのね。 『カリガリ博士』(1919年)の表現主義から一転、トーキー初期の、ハリウッドのような華やかさ。 スラップスティックで描く、オペレッタ風の賑やかな歌と踊りに、ベタベタな恋愛劇さえ微笑ましい。 劇中の音楽では、馬車の上で唄われる『ただ一度だけ』が屈指の名場面として有名なのだそうだが、酒場のシーンでつかわれた『 Wien und der Wein 』のほうが、私的にはとっても好みだった。 いつかどこかで耳にしたメロディは、一緒になって陽気に踊りだしたくなるような名曲。 メッテルニヒが繰り返す盗み聴きだったり、アレクサンドル1世の影武者が、空き時間にはじめる趣味の刺繍だったり・・・・・・いちいちおかしめるシーンが盛りだくさん。 黒澤明の『影武者』でも思ったけれど、影ゆえの苦労もさることながら、意外と大事にされつつ、美味しい蜜をちゃっかり吸っている(笑)その存在自体がおもしろい。 実際の歴史上には、たくさんの影たちが活躍していたのだろうなぁ。 狡猾かつ偽善的であった(?)という、アレクサンドル1世。その気まぐれに本気になってしまう下町の娘(リリアン)。彼女に恋する侍従の青年。三つ巴の恋愛模様が、ラストでは儚く終わりを告げ、お祭り後の物悲しさ。“ 傑作 ”という言葉がうなずける後味の良さだった。 『死ぬまでに観たい映画1001本』に選ばれているかなーと思ったが、意外にもリスト入りはしていなかったよ。 1814年、メッテルニヒの策略で、「会議は踊る・・・」といわれたウィーン会議を背景に、ロシアのアレクサンドル1世が、替え玉を使い、公務と下町の娘との恋を掛け持ちする様を軽快に描く――――。(あらすじ) 監督/ エリック・シャレル 脚本/ ノルベルト・ファルク 出演/ ヴィリー・フリッチ リリアン・ハーヴェイ コンラート・ファイト (モノクロ/84分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.06.03 16:52:04
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