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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:ソ連・ロシア映画
今世紀初頭、極東ウスリーの地誌調査をする部隊の隊長アルセーニエフ(サローミン)率いる探検隊は、道案内に老猟師デルス・ウザーラを雇う。苦難のなか、アルセーニエフは自然と同化して生きるウザーラに強い共感を覚えていくが―――――。 隊長アルセーニエフが、ウザーラを弔うため極東の地を再訪する場面から、物語ははじまる。 威厳ある自然の脅威と美しさが、二人の出会いと別れを引きたてる。なにかと考えさせられる物語だった。 ウザーラが知る、自然のなかで生きる術がすばらしい。それ以上に、彼の人柄と愛着わく存在感が、本編の一番の魅力となっている。 アルセーニエフの一行は、幾度もウザーラの知恵と知識によって救われることになるのだった。 しかし、そんなウザーラでも老いには勝てず。今度はアルセーニエフの計らいで都会で安泰に暮らすようになるのだったが・・・・・。 自然の厳しさのなかで生きるのは難しい。 それと同様にして、田舎暮らしに慣れた老人が、都会で生きるのは難しい。順応できない。 なんともやるせない、現代社会にも当てはまる、切実な問いかけがあった。 若いころの鋭さがなく、冗長気味なのが玉に瑕。苦労の連続だったろう映像にも、それほど迫力とパワーを感じない。 ただ、物語が言わんとすることの核は、とても学ぶところが多かった。 人間も自然の一部であるという感覚は、常に忘れないでいたいものだ。 黒澤監督にとっては初となる海外作品。 この頃、日本国内でも興行成績が落ち込んで、窮地に立たされていたという世界の黒澤は、厳寒のソ連で長年温めていたこの映画を撮りあげた。 監督/ 黒澤明 原作/ ウラジミール・アルセーニェフ 脚本/ 黒澤明 ユーリー・ナギービン 音楽/ イサーク・シュワルツ 出演/ ユーリー・サローミン マクシム・ムンズク スベトラーナ・ダニエルチェンコ (カラー/161分/ソ連製作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.06.24 23:06:31
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