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2010.10.21
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カテゴリ:ドイツ映画

 隅から隅まで、清らかな美しさで満ちていて、心が洗われるとはこういうことをいうのでしょう。
かの有名なウェルナー作曲の表題曲『野ばら』、シューベルトの『アヴェ・マリア』、モーツァルトの名曲を、少年合唱団の美しい歌声が高らかに歌い上げる音楽映画。
『野ばら』の原詩は、もともとゲーテによるものだそうで、その歌詞のやんごとない清らかさに背筋までピンとするようです。

 ハンガリー動乱を逃れオーストリアに辿りついた孤児トニーは、収容所行きのバスに乗り遅れて困っているところを、ドナウ河の船長だったというブリュメル老人に救けられ、意気投合したふたりは、一緒に暮らすようになります。
ある日、礼拝にでかけた教会で、ウィーン少年合唱団の讃美歌に心奪われたトニーは、合唱団入りを夢見るようになるのでした。彼に音楽の才能があることを知ったブリュメル老人は、少年の幸福のために、彼を合唱団に入れる決心をします。

トニーの未来を想い、別れを選ぶブリュメル老人をはじめ、両親のいないトニーを母親のように愛してくれる寮母マリアさんなど、みんながみんな善良で心根のやさしさが温かい。合唱団長、音楽の先生にいたるまで、いい人ばかりです。安心しきってこころを委ねられる。
少年合唱団の歌声がお好きな方はきっと多いはず。そちらの側面も楽しめる一方で、トニーの成長記、マリアさんやブリュメル老人との絆物語としても、十分見ごたえある佳作。

後半、舞台はチロルの山荘に移されます。主旋律を射止めたトニーに嫉妬する仲間が現れたり、窃盗事件が起こったり、、、順風だった前半から、にわかに波瀾が続くのだけれど、純粋な心根の人々が繰り広げる物語に、サッド・エンドなんてありえない。
とにかく、後半のチロル、アルペンの風景が爽やかで、ほのぼのと微笑ましく、歌声もハートも映像も美しいのだから文句のつけどころなし。
当時、西ドイツは、2年前に主権を完全に復活させたばかりだった。まさに平和な時代に生まれた映画という感じがする。



†   †   †


監督/ マックス・ノイフェルト
脚本/ マックス・ノイフェルト  カール・ライター
音楽/ ハインツ・ノイブラント
出演/ ミヒャエル・アンデ  パウル・ヘルビガー  エリノア・イェンセン

(カラー/西ドイツ/95分/DER SCHONSTE TAG MEINES LEBENS)







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Last updated  2010.10.24 09:22:41
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