|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
『ミスター・ロンリー』がとても好きだったハーモニー・コリン監督のデビュー作。 オハイオ州のジィーニャという小さな田舎町を舞台に、過去の竜巻で疲弊した町で生きる人々の暮らしを、猫を肉屋に売って小遣いを稼ぐ少年二人の行動を軸に、ドキュメンタリータッチで描く異色作。 生理的嫌悪感の寄せ集め。なのに、しぜんと次が気になる不思議な作品。 人を選ぶキッチュさ、グロテスクで俗っぽいのに、ピュアさも兼ね備える。小気味よい編集と映像美が惹きつける。 サイテイ+アンニュイな若者たちの希望なき日々には、どうしてだか生きてるリアルさがあって、それはピンクのうさぎ少年が見せる幻想よりも強い。 よごれた部屋に漂う退廃、シンナーでラリって、お供はおもちゃのライフル銃。ネコ殺し、自殺願望、奇形、障害、ゲイ、竜巻の通った古い傷跡―――。 負。負、負、とマイナスな要素ばかりなのに、寄り合い暮らす少年少女には、ふしぎなくらい生き生き楽しそうな表情が浮かんでいた。 ハーモニー・コリン監督は音楽が最高だ。『ミスター・ロンリー』の絶妙な選曲に心奪われたように、本作の音楽もすごくよかった。 よかったといえば、冒頭写真の少年の顔。華奢で、まだ大人になりきらないヘンテコで愛嬌ある顔。彼が自宅で大量のカトラリーを握り締めて筋トレをはじめた横で、母親がタップを踊るシーンなど最高にシュール。 コリン監督の新作がたのしみ。 監督・脚本 ハーモニー・コリン 撮影 ジャン=イヴ・エスコフィエ 出演 ジェイコブ・シーウェル ジェイコブ・レイノルズ (89min) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.10.30 16:54:06
コメント(0) | コメントを書く
[アメリカ映画] カテゴリの最新記事
|