ナイロビの蜂=出演者とスタッフの情熱の結晶
DVD原作=The Constant Gardener映画を見ていると良い作品は原作、監督、俳優、作曲家、とすべてのキャストがバランスが良い事が多いですが、この「ナイロビの蜂」はまさにそういう作品だと思っています。そう、おとといに作品見たうちの2作品目はこの「ナイロビの蜂」でした。私は劇場で見て、DVDで3回、だから4回も見ている事になります。ベルギーに出発する直前にも見て出かけたんです。それほど、魅力的な作品です。楽しい内容ではありませんが。*****************************************************************ストーリー(引用)「寒い国から帰ったスパイ」等でおなじみの、冒険小説の巨匠ジョン・ル・カレのベストセラー。ナイロビを舞台に、ガーデニングが趣味で政治にはいっさい無関心の英国外交官が、慈善活動に熱心だった妻の突然の死に不審をもち、やがては危険を顧みず陰謀渦巻く事件の真相に迫っていくさまをスリリングにえがく。第三世界に対する医薬品供与の恐るべき実態と、官僚と多国籍企業の癒着を告発した意欲作。******************************************************やはり…というか…イギリス映画なんですね。イギリスの陰謀の映画をイギリスで作ってしまえるのが凄いところでもありますが…当初、ケニア政府の腐敗と英国外交団の癒着を描いたこの作品には双方からの反発がひどく映画化難航が予想されました。それをイギリスの高等弁務官エドワード・クレイが援護協力し、ケニア側をも説得。結果、ケニアは批判される事を覚悟でこの作品の撮影に協力しています。アメリカなどでは考えにくい事だと思います。作品は官僚社会の事なかれ主義、寄らば大樹主義、アフリカでの死産を含む製薬会社の人体実験の実態…アフリカ現地の警察のワイロの現状…など、普段地球の反対側にいる我々の知らない事を次々と突いていきます。これはもちろんフィクションなわけですが、こういう事があってもおかしくない…と思わせるリアリズムがあります。そしてブラジル人監督のフェルナンド・メイレレスはこの作品の前に「シティ・オブ・ゴッド」という衝撃的な作品で一躍有名になりました。(ブラジルのスラムの少年達の凄惨な生活をドキュメントタッチで描いています=これを見た時はしばらく食事が喉を通りませんでした)その時からメイレレスの映像はドキュメントタッチで非常にリアル。今回もこのアフリカのロケが非常にリアルで見た事のないアフリカ、想像もつかないナイロビ…を色々なアングル、時間で見せてくれます。主演は英国外交官ジャスティンにレイフ・ファインズ情熱的な活動家の妻テッサにレイチェル・ワイズ彼女はこの作品でアカデミー助演女優賞に輝きました。個人的にはレイフ・ファインズも熱演だと思っていますが。そして音楽はスペイン人のアルベルト・イグレシアス「トーク・トゥ・ハー」などでも心に滲みる素晴らしい音楽で印象的でしたが今回も秀逸です。画面と音楽の一体感が素晴らしい…彼の音楽とケニアの夕日…哀しいほど美しいです。こういう感性は優れているとかを超越していますね。アフリカでのロケの場合、映画産業が充実している南アフリカで行われる場合が多いそうですが今回はケニアという南アフリカとは全然違う東側の人種、植物、建物、光にこだわり撮影は東アフリカで行われています。そのために俳優陣はテント生活で撮影に臨んでいるんです。そのあたりもこの作品のリアリティを高めているのだと思います。そして、この二人の命を賭けた愛の強さは生きる事そのもの。やはり人の心を打たずにはいられません。重い作品ですが一見の価値はあるはずです。オススメします。ナイロビの蜂公式サイト