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聖歌は生歌

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2005.09.12
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カテゴリ:聖歌一般
主 の 祈 り

 ミサの式次第を歌うことについては、ホームページの「祈りを歌う」のところで書きました。式次第、全部でなくても、奉献文と交わりの儀だけでも歌唱すると、かなり味わいがあるのですが、なかなか理想どおりには行かないようです。それでも、奉献文の中の「記念唱」と「栄唱」、それに「主の祈り」は旋律をつけているところも多いと思います。そこで、今回は、この「主の祈り」の注意点を書いてみたいと思います。

 「主の祈り」の内容、その他については、あまりにもたくさんの解説書、黙想の本が出ていますから、ここでは、あえて触れることはしません。ただひとつ、確認しておきたいことは、「主の祈り」は、その後の教会のすべての祈りの模範となっていて、まず、最初に神をたたえ、その後に、わたしたちの必要な願いを述べている、ということです。この順序が逆になってしまうと、わたしたちのために都合のよい神を作ることになってしまします。

 ミサの中では、栄唱で奉献文が終わり、あらためて、交わりの儀の最初の祈りとして唱えられます。司祭の「祈りへの招き」=『ミサ典礼書』のものは例文で、その日や季節にふさわしい招きが唱えられるようにしたいものです--が唱えられると、司祭と会衆はともに祈ります。
 最初の1小節「天におられるわたしたちの父よ」は、G(ソ)のままで、いそいそと唱え始めますが、次第に、dim. しながら、「父よ」はrit.して、こころ深みから天におられる父に静かに呼びかけます。
 続く「み名が聖とされますように」も最初はテンポを戻し、「ます」あたりから自然にrit.とdim.をします。これらのrit.とdim.は、祈りを深めるためのものですから、自然に行うことが肝要です。
 「み国が来ますように」は、「主の祈り」の神学的中心です。「み国が」のところは、ミサの式次第で司祭の音とされているB(シ♭)が用いられて(「ミサの式次第」参照)、祈りの中心であることを強調しています。この部分は、前の小節でrit.したテンポのままで、祈りを続け、最後は、さらにrit.します。祈りの中心ですから、全体にやや強めにもなりますが、あくまでも全体の範囲の中で行ってください。
 次の「み心が天に~」と、「わたしたちの日毎の糧を~」「わたしたちの罪を~」の3つの小節は、途中に息継ぎ記号「」がありますが、この息継ぎの部分がうまくいかないことが多いようです。
 各小節線のところは、四分音符+八分休符となっていますが、この部分は四分音符に「」がついて、すぐに次のフレーズに続きます。この記号は、この四分音符の中から少し音をもらって息をします。この部分は文章の終わりではなく、文章の途中の息継ぎに過ぎませんから。文章の終わりと同じようにしては、文意がつながらなくなるばかりか、祈りの流れも途絶えてしまいます。八分音符をひとつの音価として数えながら、「」の前の四分音符が1,2、次の八分音符をきちんとで入るようにします。
 そのとき、この息継ぎがスムーズに行き、しかも音価が狂わないようにするには、「」の前で、少しrit.します。それぞれ、「み心が天に行われるとおり」「わたしたちの日毎の糧を」「わたしたちの罪をお許しください」くらいから、わからないようにrit.します。そして、「」の後のフレーズに入ったら元のテンポに戻します。こうすることで、全体のバランスも崩れず、この「」の絶対的な時間が長くなるので、息継ぎも楽になるのです。ただし、何度も言っているように、このrit.が不自然にならないように、全体の祈りの流れが崩れないようにバランスをとってください。
 「今日もお与えください」と「わたしたちの罪をお許しください」「悪からお救いください」のところは、よく「くださいー」と歌われているのを聞くことがありますが、これは、日本語にもなりませんし、品位ある祈りとしてもふさわしくありません。この部分は、「さーぃ」と、「」を延ばし、最後に「」を軽く添えるように、言い換えれば、遠くの人に呼びかけるように唱えましょう。
 「人を許します」も同じです。「ますー」とならにようにしましょう。
 各小節線、すなわち、各文章の終わりのところは、何度も書いていますが、祈りが自然に深まるように、rit.とdim.をします。特に最後の「悪からお救いください」のところは、ていねいにおさめてください。
 
 「主の祈り」は、多くの教会で、ほとんど歌われるのではないかと思いますが、その分、惰性になっていたり、祈りに注意が払われにくくなっているのではないかと思います。今のままで十分と満足せずにもっと祈りを深められるように、この機会に、ぜひ、「主の祈り」を見直し、ミサ全体の祈りを深めるきっかけとしていただければと思います。

 「主の祈り」は、深めれば深めるほど、味わいが出てくる祈りであると同時に、最初にも書いたように、すべての祈りの基本でもあります。このサイトでもホームページでもできるだけたびたび、音楽だけではなく祈りについても触れてゆきたいと思います。

 なお、ミサのCDは、不肖わたくしがプロデューした『ミサ-愛の秘跡・感謝の祭儀』をご参考にしていただければ幸いです。詳細はのホームページをご覧ください。
 
 





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Last updated  2005.09.12 20:03:31
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