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2008.08.02
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※この小説は、茅田砂胡さんの小説『スカーレット・ウィザード』
 『デルフィニア戦記』『暁の天使たち』『クラッシュ・ブレイズ』
 を主軸とし、オリジナルキャラを主人公とした二次創作です。

    ●茅田さんの小説のイメージを壊したくない。
    ●キャラが本命以外(オリキャラ)と関係するは許せない!

 と思われる方は、読まれないようにお願い致します。
 読まれた後の苦情は、うけつけませんので、ご了承ください。
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※今回のストーリーは、いつも以上にオリジナル色が強いです。
 …というか、冒頭以外、ほぼオリキャラのみ。。。の展開です。
 

※※16禁程度?の表現があります。




ダニエルが出奔(公には事故死)してから数年後、アーナは優秀な成績で連邦大学の修士課程を修め、クーアに入社していた。
もちろん、一から入社試験を受けた一般社員としてだ。

ダニエルの遊び相手をしていた頃に知り合った、ケリーの友人件側近たちは、ちょうどヘレンが結婚退職をするあたりから、社会勉強のためにクーアでアルバイトをしていたことからも、推薦枠を用意すると言ってくれたのだが、特別扱いをされるより、実力試しをしたいというアーナの意志が尊重され、このようになったのだった。
「特別扱い」という言葉に、アーナを知っているプリスたちは、苦笑を禁じえなかったのだが。。。

「……特別扱いって意味、ちゃんと知ってるのかしら?」
「…………自分の価値を、わかってないと思うわ。」
「……多分、現場の上司が、すぐに泣きついて上に上がってくるよ。」
「うーん、残念だなあ。ケリーの秘書にならないんなら、僕が欲しかったのに。」

微妙な顔で、アーナの発言についてコメントするプリス、ヘレン、メルヴィンと、微妙に論点のずれているアレク。
そして、そんな4人を、苦笑しながらケリーと、ケリーを通してダイアナが見ていたのだった。





『受け継ぐ者』

【アーナの章】3





アーナは、プリスたちの予想通りに、たった5年でクーア財閥総帥ケリー直属の秘書であるプリスの補佐にまで上り詰めていた。

「……こんなつもりじゃなかったのにな~。」
子供の頃から知っている気安さで、ちょっと文句を言うアーナに、親子ほどは年も離れてはいないが、それに近い感情を持っているプリスは、笑いながらたしなめた。
「あきらめなさい。クーアは、ジャスミンのいた頃から、実力主義なんですからね。」


 * * *


ケリーの秘書(の補佐)ともなれば、ケリーと行動する機会も少なくはない。
しかも、まだ幼い子供のいるプリスより、行動に幅が利くとの考えから、移動に時間のかかる辺境へは、もっぱらアーナがケリーの秘書としてついていくことも多かった。

そんなあるとき、辺境で行われたパーティのときのことだった。
アーナはいつものごとく、ケリーへ寄せられる羨望や、尊敬、また、妬みの視線を流しながら、自分に対する僻みの視線、噂に心の中で呆れつつ、ひそかにその噂を楽しんでいた。
……この辺が、ケリーの娘であるという所以だろうか。

それによると、どうも、最近の噂では、自分はケリーの若い愛人説が有望らしかった。


ケリーがパーティに出席している有力者たちと会話をしている間、四六時中張り付いていなければならないということはない。
ケリーに一言断って、自分なりに、出席者(主に有力者たちの秘書など)との会話に興じたり、単にパーティを楽しんだりもしていた。

この日出席したパーティの会場は、ある企業の社長の館にあるパーティホールで行われており、それに見合う庭園が窓の外に広がっており、夜ならではのライトアップが綺麗に施されていた。

人との会話に疲れてちょっと休憩したいのと、そのライトアップに惹かれて、アーナは1人テラスへ出てみた。
ライトアップされた庭園は、噴水や植え込み、花の配置も美しく、アーナを楽しませてくれた。
噴水の中にも、どうも特別に配色された電灯がともっているらしく、キラキラときらめいていたので、もう少し良く見たくて、噴水まで、と思って、庭に一歩ふみだしたそのときだった。

「――っ!!」

いきなり、腕を引っ張られて、植え込みの影に引き倒された。
アーナの上にのしかかる男の影。

「誰!? 離しなさい!!」

近くに人がいるなんて、気付かなかった。
アーナは自分のうかつさに舌打ちした。

「あんた、クーア総帥の愛人なんだろ? ……あの総帥、特定の相手を作らないって噂だったが、そんな相手を落としたあんた、よっぽど具合がいいんだろ? ――俺にも、試させてくれよ。」

そんな下品な言葉を耳に囁かれて、吐き気がした。

「ふざけないで!!」

一応、アーナも護身術を習っていたが、ジャスミンやケリーみたいに、本格的に訓練をしたわけではなく、しかもどうもこの男は格闘技か何かの経験があるらしく、アーナの抵抗をものともしなかった。
アーナの着ているドレスが引き裂かれる音がする。

悔しくて、唇をかみ締める。

アーナとて経験がないわけじゃなかったが、こんな場所で、こんな男にされるのは論外だ。

「やめて! 離して!! 離しなさい!!」

暴れるアーナに業を煮やしたのか2度、3度とアーナの頬をたたいた。
さらに、もう一発、と、男が手を振り上げたその瞬間、男がアーナの上から消えた。

「――!?」

驚いて目を見開くアーナの前を、長身の男が横切り、どうやら、その男に蹴り飛ばされたらしい、アーナにのしかかっていた男が起き上がろうとしているところに、もう一度蹴りを入れた上に手とうを入れて気絶させて地べたへ転がし、さらに、気絶した男のネクタイで両手を後ろ縛りに縛り上げた。

そうしてから、ようやくアーナの方へ向き、なぜか顔をそらしながら男は自分の上着をよこしてきた。
無意識にそれを受け取って、ハッと自分の格好を思い出して、慌ててその上着を羽織ったアーナに、ようやく男は正面から顔を向けてきた。

「あの……。ありがとう、ございました。」

慌てて立ち上がって、アーナは長身の男にペコリと頭を下げた。
男は、アーナとそう違わない年頃で、会場から漏れる明かりやイルミネーションでは色までははっきりわからなかったが、深い色の短く整えられた髪と、黒っぽい色の瞳の結構な美男子だった。

「いや、その……、大丈夫、か?」

ちょっと、戸惑い気味に、心配そうに問い掛けてくる相手に、感謝の意味でも安心してもらおうと、アーナはにっこりと笑った……つもりが、頬にズキッと痛みを感じて、思わず顔をしかめてしまった。
……どうも、口の中が切れているらしく、血の味までする。
そのアーナの反応に、男はもう一度自分が気絶させて転がした男をにらみつけると、上着の胸ポケットから、携帯通信機を取り出しどこかへかけた。

「ああ、俺だ。……庭の噴水の近くに不埒者を転がしてあるから。……ああ、そうだ。……ああ、待ってる。」

通信を切った後、アーナの方を向いて、すまなさそうに言ってきた。

「もうすぐ、この館の人間が来るから――。」

言った側から、少し離れたところから、数名の足音がしてきた。
そして現れたのは、パーティ会場周辺にいた警備員たちと、女性の使用人らしい人と、彼らとは明らかに違う、パーティの出席者らしい、目の前の男と同じくらいの年頃の若い男だった。

「ライアン!」

そのうちの若い男が、真剣な様子でアーナの前の長身の男に呼びかけた。

(ああ、この人はライアンって言うのか。)

アーナは、駆けつけた女性に会場から少し離れた部屋へ誘導されなかがら、その男の名前をしっかりと記憶した。


≪続く≫


************************************

完全なオリキャラ×オリキャラになってきてます。
…二次創作と言えなくなってるような…(^^;)

…ところで、この世界って、携帯電話って言葉どっかで使ってましたか??
……全部、通信機??
あれ??







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最終更新日  2008.09.29 17:05:32
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