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2017.08.07
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カテゴリ:読書
出世花*高田郁■

主人公の縁(艶、正縁)が9歳から16歳までの話。
妻敵討ちを願う父矢萩源九郎に同行して各地を放浪していた艶は、空腹のために食べた野草に混じっていた毒草によって行き倒れる。
二人は近くの青泉寺(せいせんじ)の僧侶たちによって発見されるが、看病の甲斐なく源九郎は亡くなってしまう。
そして、回復した艶は縁という新たな名を与えられて、青泉寺で育てられ、やがて湯灌の手伝いをするようになる。
そして、それが正真に認められ、正縁と名付けられる。

他に
「落合蛍」正縁が17歳のときの話。
「偽り時雨」正縁が18歳のときの話。
「見返り坂暮色」正縁が19歳のときの話。
みをつくし料理帖■の
銀二貫
■あきない世傳■と立て続けに高田郁氏の時代小説を読んでだ。
今回読んだ「出世花」は、江戸期の湯灌をする職業、三昧聖(さんまいひじり)の物語。

15歳から湯灌をする少女の話。
他の小説と同じように幼くして親元を離れ生きていく話とはいえ、死者の体を洗う仕事は
辛かっただろうと思う。

「死」にかかわる仕事として「屍(しかばね)洗い」という差別を受ける縁。

縁をもらい受けたいという商家もあったのに、なぜ続けるのか、
私には分からない。
たらい
江戸時代の湯灌をする人の様子が描かれていた。
縁は、白麻の着物に縄の帯、縄の襷(たすき)といういでたち。
縄の帯、襷は、捨てたのだろうか。

また、湯灌に使った湯水も作法があってそれにのっとて処分されたという。

他の小説を読んだときにも感じたが、多くの文献を読み参考にしたのだろうと思う。

この小説は2007年に「第二回小説NON短編時代小説賞奨励賞」を受賞。
選考委員の山本一力氏に
「資料を読み過ぎても、それを小説に取り入れるのは100調べて95捨てよ」
と言われたそうだ。

改めて作家の世界ってスゴイなと思う。

タイトルの「出世花」は、艶、縁、正縁と名が変わる主人公に「出世魚」のようだという仲間たち。
それを受け、「正縁は魚ではない、さしずめ『出世花』というとことかな。」と正念の言葉。
「仏教で言うところの『出世』とは世を捨てて仏道に入ることだ。
正縁は名を変えるたびに御仏の御心に近づいていく。
まことに見事な『出世花』だ。」というところから。
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Last updated  2017.08.07 07:58:02
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