テーマ:読書(8615)
カテゴリ:読書
【内容情報】(「BOOK」データベースより) 大阪・船場の老舗矢島家は代々跡継ぎ娘に養子婿をとる女系の家筋。 その四代目嘉蔵が亡くなって、出もどりの長女藤代、養子婿をむかえた次女千寿、料理教室にかよう三女雛子をはじめ親戚一同の前で、番頭の宇市が遺言書を読み上げる。 そこには莫大な遺産の配分方法ばかりでなく、嘉蔵の隠し女の事まで認められていた。 …遺産相続争いを通し人間のエゴと欲望を赤裸々に抉る長編小説。 ■花のれん■【著者情報】(「BOOK」データベースより)山崎豊子(ヤマサキトヨコ) 1924(大正13)年、大阪市生れ。 京都女子大国文科卒。毎日新聞社学芸部に勤務。 当時、学芸部副部長であった井上靖のもとで記者としての訓練を受ける。 勤務のかたわら小説を書きはじめ、’57(昭和32)年『暖簾』を刊行。 翌年、『花のれん』により直木賞を受賞。 新聞社を退社して作家生活に入る。 ’63年より連載をはじめた『白い巨塔』は鋭い社会性で話題を呼んだ。 『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』の戦争3部作の後、大作『沈まぬ太陽』を発表。 ’91(平成3)年、菊池寛賞受賞。 初期の山崎作品には、船場を舞台にしたものが多い。 それもそのはず、彼女は、船場に代々続く老舗のお嬢さん(とうはん)。 生家の昆布屋をモデルに、親子二代の船場商人を主人公とした『暖簾』を刊行して作家デビュー。 この作品の時代は昭和30年代。 しかし、もっと前のような気がするくらい、使われる言葉や着物、しきたりが古めかしい。 ●読書メモ● ●忌髷(きまげ) 古めかしい黒元結いの忌髷(葬儀及び忌中に結う髪型)に結い上げ・・・(略)。 ●白無垢縮緬の喪服を脱いで、黒の喪服に着替えた。 白無垢は、葬儀の、黒の喪服は葬儀の後の精進揚の供養膳のたを勤めるため・・・。 ●大阪格子 *■大阪格子は■ 主に商店の帳場と奥の間との境に用いられ、どっしりと重量感があって老舗にふさわしい建具である。 ●矢島家では昔から、一番上の姉が大嬢(おおいと)さん、 中が中嬢(なかいと)さん、一番末が小嬢(こい)さんと呼び慣わす習慣があった・・・(略)。 ●大阪・伏見町、高麗橋は、大阪の名の通った骨董商が多い所。 ●老舗の遺産分けのお道具調べの時には、(骨董商は)紋付で・・・(略)。 ●ねそ ■「ねそ」■は近世の関西地方で「のろま」をいう語) ふだんはのろまで鈍重な人間に限って、思いも寄らぬ大事件を引き起こすことをいう。 ●妾の本宅伺い。 *草履は許されず、下駄ばき。 *妾は本宅の仏壇を拝めない。 *本宅伺いには羽織は許されず、羽織ってきても、店先で脱いで入る。 *本宅伺いのお為は、桐箱入りの絹一匹と定まっていた。 (■お為とは■ お盆を使わずに出すお為は、下目のものに遣わす駄賃替わりの意味。 *妾の本宅伺いの出しものは、お番茶一杯に限られていた。 ●しし(小便) ◎■おしっこ■ 「お」+「し」+「っこ」 「お」は接頭語の御を意味し、美化語の表現である。 「し」は、小便を表わす江戸時代の女性言葉「しし」あるいは「しーしー」に由来するとされている。 「っこ」は、接尾語の「こ」で、何かをする、行為を表わすもの。 「かけっこ」「にらめっこ」などと同様である。 しし、しーしーが転じて「しっこ」となり、それに「お」が冠されて「おしっこ」になったと見られる。 ◎昭和30年代なのに、登場人物の普段着は着物。 家にいる時も、遺産の山の確認に行くときも、着物に草履。 仕出し屋で弁当を作らせて雅な五段重に入れて、車で行く。 ■「細雪」■と時代は同じだが、「細雪」は、モダンな阪神間を舞台にしている分、明るく軽い感じで 「女系家族」の方が重々しい。 ◎タイトル「女系家族」は、「にょけい」のルビが振ってある。 かつて栄華を誇った船場豪商のえげつない女系家族とすさまじいの相続争いを筆者らしい緻密な構成で展開。 一気に読めます。 船場貴族の世界をよくぞここまで、いやはやすごい作家だなあと脱帽です。 彼女が知り尽くした「えげつない」世界をここまで緻密にコミカルに、小気味よい皮肉を交えて描けるのは彼女ならでは。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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