テーマ:読書(8616)
カテゴリ:読書
【内容情報】(「BOOK」データベースより) 長女藤代は踊りの師匠の梅村を相談相手にして、遺産相続を自分に有利にしようと画策する。 それまでの慎ましやかだった性格からは想像できないきつい態度にでる次女の千寿。 そこに番頭の思惑と、妾文乃が妊娠していた事実がからまって泥沼の様相を深めてゆく。 だが、嘉蔵が生前周到に準備していた「胎児の事前認知」という驚天動地の方法によって金の亡者たちの野望に断が下される。 ■女系家族(にょけいかぞく)(上)■ ●読書メモ● ●戦前は長子相続ということが法律で決まっていて、その家の棟木(むなぎ)の上から竈下(かまどした)の灰まで相続できるけど、長子以外は、竈の灰の一握りしか相続でけへんことになってたのやさかい・・・(略)。 ●「・・・略。 ただ、幼(ちいさ)い時から、女が権力と財力を握っている家に育ち、そうしたものの力が男を支配している姿を見てきたさかい、無意識のうちに私の心の中にも、そうすることが当たり前のような考えがあって、あるが上にも財力を持ちたがるのかもしれまへんわ」 ◎あるが上にもなぜ遺産を求めるのかという問に、長女・藤代の答。 ●宇一の胸の中で、荷解きの縄を爪で解かず、鋏で切ったのを、 「お前らの爪は無料(ただ)で生えるけど、荷造りの縄は無料(ただ)で売ってへん」と口汚く罵られながら、師走の風の中で、 血が滲んだ爪先で荷解きをさせられた丁稚時代の苦しさと・・・(略)。 ◎番頭の宇一は、丁稚時代の長年の怨念のような気持から、主家の財産をちょろまかすことを正当化。 ●・・・大川沿いのかき船「末広」で会う約束をしたのだった。 堂島中町から樋之上(ひのうえ)町に出、天神橋を渡って南詰めで車を降り、・・・(略) ■天神橋■(☝天神橋南詰) 橋詰の石段をとんとんと下りると、昔ながらの面影を残している古びたかき船が岸に繋がれている。 ●大阪の街中で、そんなすっきりした気分と風情を味わえるところいいましたら、川べりのかき船座敷ということになりますけど、こんな処(ところ)も追々埋め立てられて、大阪の川筋の風情が失(の)うなって行くようでおます。 ◎「女系家族」は昭和34(1959)年の設定。 長堀川の埋め立て開始が1960年(昭和35年):西横堀川交点より上流の埋め立てが開始される。 ■長堀川■ 1962年(昭和37年) 埋立。■西横堀川■ 「女系家族」の後、急速に大阪の街の景色が変わった。 ●丸髷に腰巻のような赤いたっつけ袴をはき、子供を膝に抱えた種貸し人形が・・・(略)。 ◎たっつけ袴(裁着袴)とは、ズボン状に股が割れていて活動しやすく、膝下部分に脚絆(きゃはん)を縫い付けてあるような形状になっていて、立ち振る舞いが軽快なのが特徴です。 たっつけ袴は、主に武士が用いていましたが、活動しやすく歩行に便利なところから、きこりや猟師、職人や踊りの役者など民間にも広まりました。■たっつけ袴■ ■住吉大社■ ●宇一は、渓流の岩場で洗濯物を足で踏みつけている女の姿をもの珍しげに眺め・・・(略)。 ■奥津温泉 名物「足踏み洗濯」■ ■足踏み洗濯は、■その昔、住民がクマやオオカミから身を守るため、見張りしやすいよう立って洗濯したのが始まりとされている風習。 昭和55年、地元で保存会を発足し、温泉客用に実演を続けている。 ●わての若い頃には、、亡くなりはった姉さんと二人、両親や御祖母さんに連れられ、秋は嵯峨野のお月見と高雄の紅葉狩り、春は吉野の桜見などと、四季の楽しみごとを催し、 それが老舗の矢島家らしいたしなみでおましたさかい、・・・(略)。 ◎■細雪■にも四姉妹と次女の夫・娘とで京都に花見に行くシーンがある。 ●納戸色 ◎■納戸色■藍染めの一つで、緑色を帯びた青色。江戸城内の、納戸の垂れ幕やふろしきに用いられた。 ●ねそ ■「ねそ」■は近世の関西地方で「のろま」をいう語) ふだんはのろまで鈍重な人間に限って、思いも寄らぬ大事件を引き起こすことをいう。 ◎長女・藤代が次女・千寿に「『ねそ』が『こそ』する」と言う。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.05.16 15:12:56
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