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カテゴリ:読書
家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、自分がひとりここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくるー。 唯一の肉親の祖母を亡くしたみかげが、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居する。 日々のくらしの中、何気ない二人の優しさにみかげは孤独な心を和ませていくのだが…。 世界二十五国で翻訳され、読みつがれる永遠のベスト・セラー小説。 泉鏡花文学賞受賞。「海燕」新人文学賞受賞。 【目次】(「BOOK」データベースより) キッチン/満月ーキッチン(2)/ムーンライト・シャドウ 「キッチン」は1987年に 「満月ーキッチン2」は1988年に 「ムーン・ライト・シャドウ」は1986年に書かれたものだ。 今から30年以上前!!! 当時、騒がれていたのをよく覚えている。 しかし読まなかった。 1970年代の「ポーの一族」も20年後に読んだくらい私は、本を流行りで読まないといえば聞こえがいいが、当時、本を読む体力がなかったのだ。 ●読書日記●気に入った、気になったフレーズと◎私のメモ。 ●(略)子供と年寄りがどんなに陽気に暮らしていても、うめられない空間があることを、私はだれにおしえられなくても随分早くに感じとった。 (略)愛されて育ったのに、いつも淋しかった。 ・・・いつか必ず、だれもが時の闇の中へちりじりになって消えていってしまう。 そのことを体にしみこませた目をして歩いている。 ●「ワープロ買ったんだ!」 と雄一がうれしそうに言った。 ◎そうそう、私もワープロを買ったのが、1989年か1990年だった。 ●まだ若い月が、そうっと空を渡ってゆこうとしているのが目に止まった時、バスが発車した。(以上、「キッチン」) ◎この他にもバスに乗ったシーンの表現が好きで、何回も読み返した。 ●彼女たちは幸せを生きている。 どんなに学んでもその幸せの域を出ないように教育されている。 たぶん、あたたかな両親に。 (略) 幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。 私もそういうのがいいな、と思う。 エプロンをして花のように笑い、料理を習い、精いっぱい悩んだり迷ったりしながら恋をして嫁いでゆく。 そういうの、すてきだな、と思う。(「満月」) ◎金持ちで優しい親に守られてなんの苦労もせず大きくなった人、本当にいるのだ。 以前、友人に 「皇族の人たちって、本当に優しそうな顔をしてるよね。」と言うと、 「そらそうやわ、あの人ら、怒る理由があらへんもん」と友人は即座に言った。 彼女は結婚している時も離婚しても、金銭的な苦労をしていたのだ。 「私の言葉はどこまであなたの孤独にとどくのだろう。」 という言葉が本の帯に書かれてあった。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.04.09 12:07:54
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