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カテゴリ:読書
内容紹介(「BOOK」データベースより) 女が映し出す男の無様、そして、真価ー。 太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。 身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようかー。 時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。 男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。 選考会時に圧倒的支持で直木賞受賞。 目次(「BOOK」データベースより) ひともうらやむ/つゆかせぎ/乳付/ひと夏/逢対/つまをめとらば 作者の青山文平という人の名は、この本を読んではじめて知ったが、脱サラして作家になったそうだ。 経済関係の出版社に18年勤務した後、1992年からライターとなる。 「つまをめとらば」は、短編が6編。 どれも男と女の話だ。 ■ひともうらやむ■ ★長倉庄平 武士 ★ ★長倉克己 庄平の幼馴染★ タイトルの「ひともうらやむ」は、主人公の長倉庄平の幼馴染の克己とその妻・世津。 この夫婦は、見目麗しく、克己は、武士の格も上。 しかし事件が・・・。 その後、長倉庄平は、武士を辞め江戸で釣り道具作家になる。 武士からの変身だが、それ以上に妻の変身に驚く。 この釣り竿を作る過程を丁寧に書いていて、はじめて知った。 ■つゆかせぎ■ ★私(主人公)は、下級武士で趣味は、俳諧。 ●彼の妻は 「いつ業俳になるのか」と言い続けた。 業俳は、職業俳人、それに対して別に職業がある者は遊俳と呼ぶ。 ●歌舞伎役者は、俳諧を詠むことが出来て当たり前とみなされていた。 尾上菊之助家の松禄や、中村歌右衛門家の芝翫など、俳名がそのまま名跡となった例も珍しくない。 ●「つゆかせぎ」というタイトル。 その日稼ぎの日用取り(ひようとり)は、雨が降れば働けない。 日用の代わりの仕事のことを「つゆかせぎ」という。 ■乳付■ 出世コースから外れた父をもつ娘・島崎民恵は、家柄の良い神尾信明との結婚。 二人を結びつけたのは、漢詩。 民恵は、女のたしなみとして、夫は、漢詩は出世のためにと始めた。 この短編のタイトル「乳付」とは、生まれた子供に初めてお乳を飲ませること。 あるいは、乳母の女性のこと。 ミルクなどなかった時代、自分の子どもでなくても、困った人がいたら、乳付をするのは当たり前という時代。 ■ひと夏■ 高林啓吾は、次男であるため、仕事もなく、兄の世話になっていた。 そんな時、呼び出しがあり、採用となる。 しかし、その仕事が飛び地での任務で、その地の任務に就いたものは、精神を患うという。 ■逢対■ ●竹内泰朗(たいろう)は、旗本の末席にいるが無役。 暇をいかして、屋敷で算学塾を開いている。 ●「逢対(あいたい)とは、登城する前の権家(けんか)、つまり権勢を持つ人物の屋敷に、無役の者が出仕を求めて日参すること。 ■つまをめとらば■ 深堀省吾は幼馴染の山脇貞次郎に家作を貸すことにした。 省吾は、女運に恵まれず、これまでに3度結婚し、2度まで離縁している。 貞次郎も結婚しないまま、ふたりは56歳になった。 ◎省吾は、家作を生活資金に 貞次郎は、趣味の本を貸す、貸本屋業をしている。 「つまをめとらば」といえば、思い出すのは与謝野鉄幹の詩。 「人を恋ふる歌」 妻をめとらば 才たけて みめ麗しく 情けあり 「娶る」は、<めと-る>と読み、「(男性が女性を)嫁にする、妻として迎える」という意味の言葉です。 「妻(め)を取る」に由来する言葉であり、漢字を見ても「取る」と「女」で成立していることがわかる。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2021.08.30 00:04:08
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