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浅草田原町に「五鈴屋江戸本店」を開いて十年。 藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる五鈴屋ではあるが、再び呉服も扱えるようになりたい、というのが主従の願いであった。 仲間の協力を得て道筋が見えてきたものの、決して容易くはない。 因縁の相手、幕府、そして思いがけない現象。 しかし、帆を上げて大海を目指す、という固い決心のもと、幸と奉公人、そして仲間たちは、知恵を絞って様々な困難を乗り越えて行く。 源流から始まった商いの流れに乗り、 いよいよ出帆の刻を迎えるシリーズ第十二弾! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ●読書メモ● ◎は私のコメント。 ●「孫六織いうて、紀州で盛んに織られるようになった織物さすのや。 近頃は、紋羽(もんぱ)、紋様の『紋』に『羽』いう字をあてるんだすが、そない呼ぶ者もいてます。 紀州のほかでは見かけませんが、温かいし、丈夫やよって、重宝しますのや。」 ◎「門羽」という言葉を聞いたことがあるが、これだったのか・・・。 ●節季候(せきぞろ)ござれや、はぁ、節季候 めでたい、めでたい、節季候ござれ 広小路の真ん中を、編笠に裏白を挿し、目だけは出して顔を赤い布で覆った奇妙な一群が、割竹やらササラやらを打ち鳴らして、賑やかに通っていく。 この時季になると必ず目にする「節季候」という門付(かどづけ)芸のひとつだった。 ●寒いうちは綿入れ、卯月朔日に着物から綿を抜いて袷(あわせ)。 裏をとって軽い単衣(ひとえ)になるのは皐月(さつき)五日、端午の節句と決まっていた。 ●「後ろに挿すものには、簪(かんざし)のほかにも笄(こうがい)がおますな。 幸のは柘植(つげ)だすやろか」 「ええ、この髪型だと笄を外せないので、休む時もこのままです」 もとは髪を整えたり、地肌を掻くために男女問わず用いられたと聞く笄だがぃ女の結髪に欠かせないものだ。 幸も柘植の笄に髪を巻きつけて結い上げ、しっかりと根もとから支えるために使っている。 ◎笄(こうがい、「髪掻き」の転訛とは、髪を掻き揚て髷を形作る装飾的な結髪用具。 ただし次第に結髪後に髪を飾るものに変化した。 ただし、江戸後期の複雑な結髪になると用途は後退し、ほぼ装飾品と同じとなるとあるから、やはり、髪飾りとして使われてもいたらしい。 ●紙のもとになるのは、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)という木の皮です。 中でも楮は成長が早いために、紙としても多く出回っています。 ●丹後縮緬(たんごちりめん)の地に、橘の花枝と果実、そして蝶。 優しい色合いの友禅染だった。 橘は常世(とこよ)の国の樹木とされ、その実は何時迄も芳しく香り続けるために、不老長寿を表す。 また蝶は変容を重ねることから永遠、あるいは立身出世を意味すると言われる。 なんとも縁起の良い品に違いなかった。 ●吉原には「芸者」あるいは「幇間(ほうかん)」と呼ばれる者が居て、座持ちを良くし、宴を盛り上げるために欠かせない。 鳴り物や歌舞伎などの芸に秀でるが、あくまで男に限られる。 ◎芸者が男の職業だったとは!!! ●(日食)「お日ぃさんをじかに見たら、目ぇを傷めてしまう。 店の表に床几を出して、水を張った盥を置いて、水面に日ぃを映して、欠けていく姿を眺めたんだす。 短い間なら、そうやって見ても構わへん、と教わりましたのや。」 ◎盥の水に映る太陽でも長く見てはいけないそうだ。 ●「崩御しはった桃園帝には、五つのぼんぼんが居(お)ってや、て聞いてます。 ◎天皇の息子に「ぼんぼん」って((´∀`))ケラケラ 江戸時代の庶民の天皇に対する気持ちは、決して今のようなものではない。 明治になってから、急に天皇が「神」扱いされだしたのだ。 ●大坂では、商いでしくじって分散の憂き目に遭ったとしても、女子の持ち物が借銀の形に取られることはない。 贅を尽くした装束は、店の再建への手立てになる。 それゆえ、大坂商人は、女房や娘の衣装に金銀の糸目をつけないのだ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 大坂から江戸に店を出して、10年。 元々は、呉服(絹)の商売をし、成功していた五鈴屋だったが、呉服組合を排除される。 しかし、太物(もめん)で大成功したばかりか、太物仲間にも、その利益を分ける。 商売は成功しているのに、いつも何か問題が起きる。 今回の問題は、太物(木綿)を扱っている五鈴屋が、呉服(絹)も扱えるようになるか否か。 ■あきない世伝金と銀(1)源流篇■ ■あきない世伝金と銀(2)早瀬篇■ ■あきない世伝金と銀(3)奔流編■ ■あきない世伝金と銀(4)貫流篇■ ■あきない世伝金と銀(5)転流篇■ ■あきない世伝金と銀(6)本流編■ ■あきない世伝金と銀(7)碧流編■ ■あきない世伝金と銀(8)瀑布篇■ ■あきない世伝金と銀(9)淵泉編■ ■あきない世伝金と銀(10)合流編■ ■あきない世伝金と銀(11)風待篇■ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.05.17 00:16:28
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