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2022.06.23
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テーマ:読書(8612)
カテゴリ:読書
私の大阪八景:田辺聖子

〈上の天神さん〉の境内で行われるラジオ体操。
カタコラカタコラ下駄履きで集まると、在郷軍人の小父ちゃんが台に上って号令をかけていた。/
トコのちぢれ毛をまっすぐにして下さい。
中原淳一の絵の女の子みたいにして下さい。/
チョロ松と二人で、ゆぶねに腰かけて唱歌をうたった。
「旅順開城 約なりて 敵の将軍ステッセル 乃木大将と会見の 所はいずこ水師営」/
あとを頼むぞ、とか何とかいって戦地へいくと、若い盛りにパッと桜のように散る。
そしてほめられる、新聞にのる、勲章をもらう、みんなに泣かれる、いい気なものだ。
男のほうが人生の花を独り占めして、女はカスの部分をつかまされる。/
日常のささやかな描写の中にすべて戦争が描き込まれた名連作短篇集。


この作品は、昭和初期から戦時中を経て、戦後のころまでの大阪市内北部を舞台にして、そこで生まれ育って行く、
「ごくあたり前の」少女の物語だ。
主人公は、田辺聖子本人。
 以前、田辺聖子作のNHKの朝ドラ「芋たこなんきん」というドラマがあったが、今、再放送している。
その内容が、「私の大阪八景」と同じ。

NHKのドラマの方では、作家になり、「かもかのおっちゃん」と結婚した作者が、小さい頃を思い出し書く。
下駄●メモ●

●トキコ(主人公・田辺聖子)のうちは、いつも20人あまりの人間がいるから、母ちゃんや父ちゃんにオハヨーなどといっていると御飯を
たべそこなう。
インク壷
●「山の淋しい湖に・・・」という流行歌のふしを兄ちゃんが(ギターを)一本指でひき、皆でデタラメの替え歌を合唱した。

♪「昨日召されたタコ八が
タマに当たって名誉の戦死
タコの遺骨はかえらない
タコの親御よ 何泣くか
タコに骨は
タコに骨は無い・・・」

絣のもんぺ●昔馴染みの人も町もばらばらにくだけてどれ一つとして無キズで残っていはしない。
ときどき思いがけない再会があったりすると忘れていたものが、落としたガラスのかけらのようにキラリと光ったりする。
でもそれをつなぎ合わせてみたって、手からすぐこぼれ落ちてしまう。
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Last updated  2022.07.06 00:03:20
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