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2022.12.21
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テーマ:読書(8614)
カテゴリ:読書
■あきない世伝金金と銀(13):大海篇(完結編)■

宝暦元年に浅草田原町に江戸店を開いた五鈴屋は、仲間の尽力を得て、一度は断たれた呉服商いに復帰、身分の高い武家を顧客に持つことで豪奢な絹織も扱うようになっていた。
だが、もとは手頃な品々で人気を博しただけに、次第に葛藤が生まれていく。
吉原での衣裳競べ、新店開業、まさかの裏切りや災禍を乗り越え、店主の幸や奉公人たちは「衣裳とは何か」「商いとは何か」、五鈴屋なりの答えを見出していく。
時代は宝暦から明和へ、「買うての幸い、売っての幸せ」を掲げて商いの大海へと漕ぎ進む五鈴屋の物語、いよいよ、ここに完結。

●読書メモ●  ◎は私の感想。
●平十郎結び、市松(いちまつ)模様、小六(ころく)染め。
帯結びや紋様、染めなどには、歌舞伎役者の名を留めたものがある。
●・・・孫六織いうて、紀州で盛んに織られるようになった織物だすのや。
近頃は紋羽(もんぱ)、紋様の「紋」に「羽」という字をあてるんだすが、そない呼ぶ者もいてます。
そうそう、「紋羽」だった。
ビロードに似た肌触りが、何とも心地よかった。
●江戸では、粥はあまり好まれない。
冬至に、邪気を払うため小豆粥を食べるが、たっぷりの砂糖を加えて、甘くしたものを食する。
大坂では塩味のみなので、甘い粥に慣れないうちは難儀するだろう。
●末広屋では「小僧」だったが、五鈴屋では大坂ゆかりの「丁稚」の呼び名に揃えている。
●春になれば真っ先に芽吹く早蕨は、先端が丸くなった姿を「のし」に見立てることもあって、祝儀に通じる吉兆紋として好まれる。
●織り上げた木綿を白くするのに、陽や雪、水に晒す方法があるが、石灰を用いる手法が試されるようになった。

多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだかなしき  万葉集 詠み人知らず
という歌があるが、これは、木綿を白くしていたのだと思った。
●師走に入れば、町内総出で、お事汁(ことじる)を振舞ったり・・・。

◎■2月8日と12月8日を「事八日」といい、■「お事汁」というみそ汁を食べて無病息災を願う習わしがあります。
昔から「事八日」は、事を始めたり納めたりする大事な日とされてきました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■治兵衛のあきない講座■
●完結までに、半年に1冊、全部で6年半かかった。
●紋羽織って何?
昭和の頃、よく寝間着に用いられていたのが綿フランネル。
紋羽織はその原型ともいえる織物です。
もとは孫六織と呼ばれ、松葉による起毛、針を束ねての起毛、と技術が磨かれて、明和年間に紋羽と名を改め、諸国に売られるようになります。
ふんわりとけば立った記事は足袋や肌着に用いられ、好評を博しました。
「紀伊国名所図会」(国立国会図書館デジタルコレクションで公開)の「紋羽織屋」で製作の様子を垣間見ることができますよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あきない世伝金と銀(1)源流篇
あきない世伝金と銀(2)早瀬篇
あきない世伝金と銀(3)奔流篇
あきない世伝金と銀(4)貫流篇
あきない世伝金と銀(5)転流篇
あきない世伝金と銀(6)本流篇
あきない世伝金と銀(7)碧流篇
あきない世伝金と銀(8)瀑布篇
あきない世伝金と銀(9)淵泉篇
あきない世伝金と銀(10)合流篇
あきない世伝金と銀(11)風待篇
あきない世伝金と銀(12)出帆篇
■あきない世伝金と銀(13)大海篇■
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Last updated  2022.12.21 00:03:08
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