テーマ:読書備忘録(1394)
カテゴリ:読書
五鈴屋を出奔した惣次が、如何にして井筒屋三代目保晴となったのかを描いた「風を抱く」。 生真面目な佐助の、恋の今昔に纏わる「はた結び」。 老いを自覚し、どう生きるか悩むお竹の「百代の過客」。 あのひとに対する、賢輔の長きに亘る秘めた想いの行方を描く「契り橋」。 商い一筋、ひたむきに懸命に生きてきたひとびとの、切なくとも幸せに至る物語の開幕。 シリーズを彩ったさまざまな登場人物たちのうち、四人を各編の主役に据えた短編集。 ■あきない世傳金と銀■が終わって、ロスな私に、スピンオフ作品が出るというので、図書館で借りることに。 さすが、人気作品だけに数か月待って、やっと読めた。 私の後にもまだ読みたいという人が待っていてNHKのドラマにもなっている人気作品だ。 主人公・幸は、様々な苦難にぶつかる度、己の知恵と周りの教えに助けられ、女中から御寮さん、 そして女主人へ。 世界も注目する日本の着物文化の神髄に迫る美の世界とその商道を極めることを縦糸に、 折々の人間模様を横糸に織りなす細腕繁盛記。 主人公の幸(さち)を取り巻く人々が今回の主人公。 ★第一話:風を抱く。 五鈴屋の次男で惣次は、妻の幸の商才に嫉妬するあまり、五鈴屋を飛び出した。 その後、江戸で会うのだが、名前が井筒屋三代目保晴で両替商になっていた。 その経緯が書いてあって納得。 商いにしか興味がなく、冷たい惣次が少しだけ変わっていくのが嬉しかった。 ●紅うこんは縁起の良い色ですから、殊更、大坂商人には紙入れに好まれる。 ●(略)古い風通織を前結びにしている。 *結婚すると帯は前結びになる。 ●利ぃ取る、利ぃ取る 日一部、日一部 如月晦日の澄んだ空に、上機嫌の雲雀の唄が響いて(略) ●隅に置かれた*広蓋(ひろぶた)*に、惣次は目を止める。 *広蓋(ひろぶた)* 1 衣装箱のふた。昔、人に衣服などを与えるとき、これにのせて差し出した。 2 縁のある漆塗りの大きな盆。 *「もろぶた」という餅を入れるものがあるが同じような形から来ているのだろうか? ★第二話:はた結び 五鈴屋江戸店の支配人、佐助が主人公。 ●紋羽織(もんぱおり) というのは紀州で生まれた織物で、木綿にも拘わらず、ふんわりと毛羽立った独特の風合いのものだ。(略) 「紋羽織は、泉州の樽井村というところで作られるようになっています。」 ★第三話:百代の過客 大坂五鈴屋から江戸五鈴屋まで主・幸について奉公をするお竹。 残りの人生を思い悩む。 *白内障と思われる症状がお竹に出ている。 薬も手術も出来ない頃、神仏に頼るしかなかった時代、どんなに不安だったかと思う。 ●「針は、京のみすや針でしょう?」 「へぇ、私はそれしかつかいませんよって」 慶安年間の1651年には宮中の御用針司に、現在の“みすや”の屋号は1655年に後西天皇(後西院天皇)より賜ったもの。 ■みすや針HP■ *今も残っていたことにビックリ!!! ★第四話:契り橋 五鈴屋のデザインを一手に任されている賢輔。 性格も男ぶりもいいので、幸の妹や近所の店のお嬢さんに夫と望まれるも断っている。 幸より七つ年下。 ●紀州では、古来、束ねた松の葉で布地を擦って、起毛させていたと聞く。 紀州と泉州を結ぶ孝子超(きょうしごえ)街道を経て、紋羽織は泉州に伝わり、そこで技が磨かれた。 針を利用した起毛により、肌触りはさらによくなった。 今、NHKで■あきない世伝金と銀■放送している。全8回(金曜日) ★幸=小芝風花 ★惣次=加藤シゲアキ ★お竹=いしのようこ *幸役は、若いころの深津絵里が一番と思っていたけど、幸は165㎝は欲しいのでちょっとなと考えた・・・。 今だったら黒木メイサかな・・・。 いや、早見あかりかも・・・。 いや、小松奈々!!! にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.01.22 00:07:54
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事
|
|