テーマ:読書備忘録(1394)
カテゴリ:読書
時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。 官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった「残り者」がいた。 彼女らはなにを目論んでいるのか。 それぞれ胸のうちを明かした五人がが起こした思いがけない行動とはーー。 激動の時代を生きぬいた女たちの物語。 ★登場人物★ ★りつ・・・天璋院・篤姫の呉服之間に勤めるお針子。 幼い頃から母の内職の縫物の手伝いをしていたため、腕が立つ。 ★お蛸・・・天璋院篤姫のお食事係「御膳所」勤め。 ★ちか・・・「御三之間」出世が望める部署。 勝気な性格。 ★もみぢ・・和宮の呉服の間勤務、腕が立つ。 京ことばで嫌味を言う。 ★ふき・・・御中臈。若く美しく胆力がある。 天璋院付き御中臈の7人の中で一番若い。 出てくるのは、ほとんど、この5人だけ。 場所は、江戸城だけ。 とくれば、舞台に向いているのでは、と思ったらやっぱり舞台化されていた。 テレビドラマにして欲しい。 個性的な5人だから、面白いドラマが作れると思う。 ★酒で渋抜きをした樽柿は、下賤な食べものとして、大奥では食べることはなかったが天璋院・篤姫の好物だった。 ★顔と首筋に白粉をこってりと刷き、描き眉は三日月、口も赤い紅でぬめっている。 が、これぞ大奥の化粧で、薄化粧は下品と蔑まれる。 その昔、正室に入られた京の姫君の公家流が数百年も受け継がれているのである。 ★大奥筆頭御年寄こそが大奥の女役人の長である。 (略)瀧山などは十万五石の大名に匹敵する格を賜り、権勢は幕府老中を凌ぐと言われた。 (略)この城を去る際の行列は、大名のごとき絢爛さであったと噂されたものだ。 ★奥女中の指示系統は筆頭年寄を頂きとして、その下に幾人かのお年寄り、御客会釈、御中(おちゅう)年寄、御中臈、そして御次や御祐筆(ごゆうひつ)、御錠口、呉服之間などの役職 で構成されている。 ★♪・・・おいおいの勉強に横文字洋楽大商法、シャッポ着て時計持って、立身つとめや月給取り、 洋服に蝙蝠傘に、着流しの長羽織、馬車人力で駆け廻る、散髪頭に香水ぬって靴はいて、シャボンで躰を洗い、ビール飲んで牛煮て食って、えら奮発。 軽妙な節回しは、市内でえらく流行っている大津絵節だ。 しかし、この作品は、その大奥をそれぞれの持ち場で働き支えた奥女中たちが主役になっている。 彼女たちがいかに、自分の仕事に誇りを持ち、大奥で生きていたのか。 その居場所を、不条理な情勢の流れで、出て行かなくてはいかなくなった憤りと不安。 そんな奥女中たちの胸の内が読みやすく描かれていて、楽しく、時には切ない気持ちにさせられます。 自分の心に区切りをつけ、新しい時代へと歩き出す彼女たちがたくましく、爽快感を感じます。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.07 00:01:30
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