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2024.10.18
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テーマ:読書備忘録(1394)
カテゴリ:読書
■春情蛸の足■

●内容紹介●
「熱、つつ、つ」。
偶然たどりついた店で出会った、いとしのお好み焼き。
初恋の相手に連れて行かれた理想のおでん。
彼女の食べる姿に惚れたきつねうどんに
たこやき。
妻が味を再現できないすきやき。
そして離婚相手と一緒に味わうてっちり……。
読むと幸せになれる、食と恋の短編集。
笑って恋して腹がすく。
●目次●
春情蛸の足/慕情きつねうどん/人情すきやき譚/お好み焼き無情/薄情くじら/たこやき多情/当世てっちり事情/味噌と同情
●解説●
「春情」、「慕情」、「人情」、「無情」、
「薄情」、「多情」、「事情」、「同情」。
タイトル八編に全て「情」がついている。

食べ物のある所には、人間だけに許された喜怒哀楽、笑いや涙がある。
「あー、美味しかった。
ごちそうさまでした。」--小川糸(解説より)

●読書メモ●
●この小説の会話は、大阪弁。

●ぐいち・・・いきちがい。
*よく使う言葉。
●「関東煮(かんとだき)」
*最近は、おでんが主流となった。

●・・・亡母の口癖で「キンキンモウモウ」・・・
ギンギラギンのこと。
派手な化粧やアクセサリーをしている女性に「キンキンモウモウ・・・」。
●大阪弁は、「炊く」というのである。
*関西は、大阪以外にもすべて「炊く」。
「なすびのたいたん」、「なんきんのたいたん」・・・。
●…ついで綿入れの「でんち」に仕立て・・・
*袖無羽織で,〈ちゃんちゃん〉〈でんち〉〈さるこ〉などともいう。
名は江戸時代,鉦を叩き飴を売り歩いた清国人の服装に由来するという。

*「でんち」は初めて聞いた言葉。

●・・・通俗歴史書によれば、そんな江戸で一年に一日だけ、鯨汁を食べる日があったと書いてある。
なぜか12月13日の師走の煤払いのあと、鯨汁で夕飯を*したためる*習慣だったそうである。
皮鯨の味噌汁でもあったのだろうか、
「鯨汁食ってしまえばいとまごひ」
「「鯨汁四五日鍋のやかましさ」
「鯨汁椀を重ねて叱られる」


*江戸の女は鯨の臭いを嫌い鍋や椀を徹底的に洗わないと気がすまなかったらしい。

*したためる*食事をするの意味。
●「寒いよって、このおみいで暖(ぬく)まっとくなはれ」
(略)おみい、というのは雑炊の大阪弁である。
*かつて岡山県でも使っていた。
朝ドラで三重県の女性(設定)のセリフにもあった気がする。

●小体(こてい)な店・・・こじんまりした店。
●著者情報●
田辺聖子(タナベセイコ)
1928年大阪府生まれ。樟陰女子専門学校国文科卒。
’64年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で第50回芥川賞、
’87年『花衣ぬぐやまつわる…』で第26回女流文学賞、
’93年『ひねくれ一茶』で第27回吉川英治文学賞、
’94年第42回菊池寛賞
’98年『道頓堀の雨に別れて以来なり』で第50回読売文学賞、第26回泉鏡花文学賞、第3回井原西鶴賞を受賞。
’95年紫綬褒章、
2000年文化功労者に選ばれ、
’08年には文化勲章を受章。
小説をはじめ古典や評伝、エッセイ等著書多数。
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Last updated  2024.11.04 18:17:07
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