|
テーマ:好きなクラシック(2327)
カテゴリ:オペラ・音楽
もうちょっと時期はずれの話題になるのですが・・。
昨年末、31日の夜、東京オペラシティコンサートホールで行われたジルヴェスターコンサートに夫婦水入らずで行って参りました。ジルヴェスターコンサートとは新年を迎えるコンサートでして、有名なところではいつもNHKBSで生放送されているベルリンフィルのコンサートなんかがあったりします。日本でも、毎年テレビ放送されているオーチャードホールでのコンサートや、サントリーホールでのコンサートが有名です。都内ではあとこのオペラシティのコンサートの3つくらいなんでしょうか?判りませんが、私の方はいつからかはすっかり忘れてしまいましたが、もう何年も前からこのオペラシティでのジルヴェスターコンサートが夫婦の年中行事になっています。 と、いうのも、このコンサート、最高に楽しく、最高に面白く、最高に雰囲気が良いコンサートだからです。まさに新年を迎えるに相応しい、そんな思いをいつもさせてくれます。昨年の年明けは子供をどうしても預けられず行けずに涙を呑んだのですが、今年は子供も大きくなり母親に預けてのコンサートに行って参りました。 このコンサートの内容はどういうものかといいますと、ハンガリーにあるブダペストオペレッタ劇場が来日してオペレッタの名曲の数々を歌い踊るというものです。曲目は毎年あまり変わり映えのしないものではありますが、日本人に馴染みの深い素敵な、そして血沸き肉踊る激しいリズムの曲ばかりを集めています。そしてなによりソリスト、オケ、ダンサー皆々のパフォーマンスの素晴らしさ、もうこれに尽きます。 このブダペストオペレッタ劇場はかれこれ10年位前に初来日しオペレッタの名作『メリーウィドー』(レハール作曲)を上演。これが確か『音楽の友』誌上で、その年のコンサートベスト10の上位(もしかして1位だったか!?)に入選し、どの評論家も大絶賛でした。私はその舞台は未見だったので、どんな舞台だったか非常に興味がわきました。それからしばらくしてそのコンサートの模様がライブCDになったので購入したところ、これが本当に面白い!!セリフに日本語が必ず入るのは外国のオペラ劇団がジングシュピール(セリフ入りのオペラ)やオペレッタでセリフを話す時に使ういつもの手ですが(それだけでウケてしまうのですから羨ましいと言えば羨ましい・・)、これが絶妙なタイミングでポン!と入るし、他のセリフの場面にしても彼らは母国語のハンガリー語で歌もセリフもするのですが、なんとなく雰囲気が伝わってきて可笑しい。そして音楽も甘く美しいところは限りなく甘く美しく、楽しいところはとことん楽しい!その感じがCDを聞くだけで伝わってくるんです。もう、これは生の舞台を見ずにはおけない!!そう思って行きだしたのが彼らのコンサート、そしてこのジルヴェスターコンサートでした。 コンサートは夜10時から。そのコンサートの時間に合わせて会場入りをするわけですが、いつもはやめに出て夕食を会場付近で食べる事にしているんです。でも大晦日の夜中に開いている店も数少ない。特にオペラシティ内のレストランは軒並み休業・・。コンサートのあるときぐらい頑張って開けててよっ、なんて思ったりもしますが・・。いつもなら「アンナミラーズ」というレストランが店を開けていて、ミニスカのウェイトレスさんの姿を眺めてニヤニヤしながら、年の最後を祝っていたのですが(それにしても何でミニスカートなんだろう・・)なんと、今年は店舗が変わっていた!!それも私達夫婦には不釣合いな洒落た店・・。仕方なくオペラシティの地下をウロウロしてやっと1軒だけ開いている中華料理屋を発見!そこも後数分でラストオーダーだっただけに飛び込みで食事をしました。セットものでしたが、ショウロンポウ付きでとても美味しかったのでかなりお腹も心も満たされて店を出ました。その後オペラシティの夜景を愉しみながらしばし、久々の夫婦水入らずでの散歩。2006年もかみさんにはいろいろ苦労かけました・・。そして会場へ! 昨年はどうだったかは判らないのですが、今年は例年に比べて随分と変わっていました。まず、歌い手のメンツがほとんど代替わりしていた事。毎年のように来日していたこの劇場のプリマであるカロチャイ・ジュジャ、美声のテナー、ニャーリ・ゾルタン、そして最高のダンスパフォーマーであるオズヴァルド・マリカといったメンバーからほとんど若手に代わっていた事、そして毎年舞台だけでなく開演前や休憩中ロビーに現れて演奏してしまうジプシー楽団“サーンタアンサンブル”も出演しなかった事などちょっと残念であり、ちょっと不安でもありました。 ところがどっこい!!蓋を開けてみればそんな不安はどこ吹く風!!若手に代替わりしてもみんな素敵なパフォーマーでした。 正直言えば、ココの劇団、歌はあまりお上手とはいえません。私達がごく一般的に耳にするオペラやオペレッタを上演するような団体の歌と彼等の歌を聴き比べると、かなり違和感があります。みな、硬質の独特の発声法で、物凄く特徴的。で、みんな同じような声に聞こえるので目をつぶって聞いていたら誰が誰だかサッパリ判らなくなりそうなくらい声質が似ている。(少し大げさですが・・)テナーとバリトンといっても声質はほとんど変わらないんではないでしょうか。人によっては客席まで声の届かない人もいる位。だから、ごく一般的なクラシックのオペラ、オペレッタの美しい歌を目当てに聞きに来られた方には少々きついかもしれません。(現に、休憩中あーだこーだと怒っていたお客さんを見たことがあります)ところが、彼等の芝居の上手さ、オペレッタの楽しさ、美しさの雰囲気を見事にかもし出す素晴らしさ。そのショーマンシップの素晴らしさは他に類を見ません。オケも小編成ながら実に見事な演奏。ウィーンのオケのような優雅さはありませんが、オペレッタの呼吸をよく理解した演奏。これは指揮者のマクラーリ・ラースローの手腕によるところもかなりありそうです。まさにウィーンフォルクスオーパーと並ぶオペレッタの殿堂と呼ばれるに相応しいものがあります。日本人では絶対に成し得ない舞台ですし、ウィーンのそれとも違った、何ともいえない雰囲気、それを魅せ、聞かせてくれるのがこの劇団です。 オペレッタの本場と言えばパリかウィーン、と思われる方が多いと思いますが、このハンガリーと言うのはオペレッタにとって重要な土地柄なんです。オーストリア=ハンガリー帝国の名残からJ・シュトラウスのオペレッタの中には数多くのハンガリー色が取り入れられていますし(『ジプシー男爵はその典型です)、ウィーンオペレッタの白銀時代という一時代を築いたレハール、カールマンといった人達はハンガリー人であり、その作風はハンガリー抜きには語れません。 今年の演目は『マリツァ伯爵夫人』『チャルダーシュの女王』(カールマン作曲)、『ルクセンブルグ伯爵』(レハール)『こうもり』(J・シュトラウス)の4曲の中からそれぞれ名アリアや重唱、ダンス曲などを演奏しました。例年より演目の種類が少ないのと、毎年歌われている『ジプシー男爵』の中からの曲が無かったのはちょっと寂しかったですが、もう思いっきり楽しめました。とにかく歌にダンスにと盛りだくさん。特にダンスは歌い手がアクロバティックな踊りも披露してくれるので最高に面白い。今年は『こうもり』の乾杯の歌でカウントダウン!!曲が終わったところで「Happy New Year!」と、なるはずが間に合わず曲の途中を遮ってカウントダウンに入ると言う可笑しいハプニングもあり、でもどの曲も面白く、じっくりと聞き入ってしまいました。 ただ、いつも思うのですが、このジルヴェスターコンサートは寺崎裕則さんという日本オペレッタ協会の会長さんが企画に携わり、プレトーク(曲の説明)もしているのですが、正直あまり良い印象を受けません。確かに寺崎さんは日本にオペレッタの文化を根付かせた人でありそれは多大なる功績だとは思うのです、が、たとえば今回の企画で『ルクセンブルグ伯爵』の曲がかなり取り入れられていたのは、実は後日彼の企画演出するオペレッタ協会での同演目があるから、その宣伝に利用したのは明らかだし(実際、プレトーク上で宣伝してるし)、他の曲を説明するんでも「私はこのオペラを7回やりましたけど、、」とか、観客にはどうでもよい、ご自分の宣伝および自慢話・・。まぁ、それは大目に見てもとにかく話が下手くそすぎ・・。宣伝ばかりで肝心の曲の説明はほとんど無し。今でこそ大分内容が短くなりましたが以前はその話が長すぎて予定していた曲が一曲カットされていた事もあった位!それに今回も歌い手の名前は間違えるし、誰が何を歌ったという説明も間違っているんです!!日本では無名の歌手の方ばかりですからうわっ、今の素敵な歌歌った人誰??と思いますよね。で、寺崎氏が紹介する。でも、実は紹介した人は別の人だった!!もう聞き手の私は混乱と憤慨をしてしまいましたよ・・・。そして、とても演出をしている人とは思えない司会進行の間の悪さと、場の雰囲気の読めなさは筋金入りです。 (万一関係者の方いらっしゃったらすみません。でもこれだけはどうしても耐えられない・・) この舞台が終わると、実はもう一つのお楽しみ、舞台を色鮮やかに飾っていたお花のプレゼントがあるんです!!例年は真っ赤なポインセチアの鉢植えを貰っていたのですが、今年は大きなユリの花。今も我が家の玄関を色鮮やかにそして強い香りを放ち咲いています。 素敵なコンサート終了後は幸せな気分一杯で帰路に着き、そのまま初詣に行って参りました。今年も私達家族にとっていい一年でありますよう、祈願して。そして、夜中の4時近くに“年入りそば”を食べて帰宅しました。この日だけは夜寝てからも楽しいオペレッタのメロディが頭の中をぐるぐる回っています・・。今年も素敵な音楽を沢山聴きたいものです。 (それにしても書いたものを見返すと当日の舞台の様子がちっともかけていませんでした・・。もう私のつたない言葉や文書ではこの面白さをお伝えする事ができません!是非機会があったら一度ご覧下さい。コンサートや舞台でかなり地方巡業もしているようです。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[オペラ・音楽] カテゴリの最新記事
|