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2020.11.29
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カテゴリ:
『ホテルローヤル』 桜木紫乃 集英社文庫

 すこしまえに原作を読んだ。こんど映画になったので見に行った。
 ラブホテルという狭い空間で物語が展開するので、「ピンク」か喜劇でないと、映画としては物足りなさを感じる。それにしても、観客(コロナ禍で客が少ないのだが)がクスッとでも笑う場面がない映画とは珍しいものである。
 この小説は作者の実家がかつて経営していたホテルを舞台としている。作者自身もそこで働いていたということだから、実話にもとづいて、この小説は書かれていることになる。
 しかし小説家というものは、1cmのふし穴から見たものを100ページぐらいに書くことができる想像力をもっているから、どこまでほんとうで、どこまでが創作かわからない。小説だからそんなことはどうでもいいといいながら、そこを詮索しながら読むのもの楽しい。
 ということで、あたい妄想エロジジイとしましては、ーーわずかに芯をーーというこの描写が気になりました。これは作者の実体験でないと、こうは書けないのではないかと。
 ブーツが物語の展開の中で出てくる。これが強烈に臭い。小説の中で何回も、その臭さが強調される。映画の中でもその臭さが表現されている。このストーリーでは、そのブーツの匂いが、そこまでくさいと強調されなくていいように思える。これは作者の実体験だからここまで強調されるのだろう。
 小説でも、映画のほうでも、心中事件があったから、ホテルは廃業に追い込まれたことになっている。しかし実際には心中事件というのはなかったのではないか、そら、心中未遂というようなものはあっただろうが。このくさいブーツを履いたアベックがホテルを利用したあと、その臭いが部屋についてしまった。汚れや、キズであれば、洗ったり、隠したり、交換したりして修復できる。しかし部屋についてしまったにおいは、簡単に取れない。つぎに入った客から、えらいクレームをつけられた(怒鳴られ、騒がれた)。そして悪いうわさがたって、ホテルは廃業に追い込まれた。その臭いは、作者の鼻先に憑いて放れなかった。
 えっち屋さんのせりふ―ー(体を使って遊ばなきゃいけないときがある)ーーフィットネスクラブやスポーツクラブの器具のように、ここに出てくるものがストレス解消に役立つ道具になる。あたいのようなジジイにはよくわからんが、時代はもうその方向に動いているのか、心地よい気持ちを得るための道具として独立する。行為そのものが「快感指数」としてAIによってあらわされる。(将棋の優劣がコンピューターで数値化されるように)
幸福度をはかるのに「偏差値」から「快感指数」に代わる時代が来るのだろうか。ジジイの妄想はきりがないのでこれぐらいにしておこう。
 「ヲコ幻想」も実体がともなうと、むなしいものになるんだなというのがこの本を読んだ感想。そしてこれがいい小説だと思うのは、--「星をみてたー」--「そうか」というセリフがあるからだ。





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最終更新日  2020.11.29 14:13:30
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