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カテゴリ:論
朝日新聞小説『また会う日まで』池澤夏樹
272 ベータ―ハーフ8 2021.5.9(日) そうなのだ。アダムとイブは楽園を追われた。額に汗して働かねばならなくなった。しかしそれは恩寵であった。人間は労働するものだ。空の鳥とは違う。 小説のストーリーには関係ないのだが。 人間の労働と鳥が食べるものを探すのとは何が違うのか。鳥たちは自分の食べる分と、子供の食べる分のために働く。人間どもは自分の食べる分と、子供の食べる分のためと、神様に捧げなければならない分のために働く。労働とは神様に捧げるために余分に働かなければならないということである。鳥は自分たちが食うより余分に働く必要がない。ここが違うのである。 神様はデビュー当初から人間に食べ物をせびった。恵んでくださいとお願いしたのでなく、ひどい目に合わすぞと脅かしたのである。 聖書が書かれた時代にはもう搾取する側とされる側がはっきり分かれていたのである。聖書がどういう意図でつくられたのか、わからないが、神は搾取する側に使われたのである。そしてせびり取った食べ物を、恩着せがましく恵みと称して、微々たるものを民の方に還元したのである。神の正体とはこんなものなのである。 「私有幻想」の原理は神よりも古い。なぜなら創世記で神が人間を創るよりも以前にサルから進化した人間といわれる動物がいたのだから、人間は二種類いることになる。サル進人間と神創人間、搾取人間とお恵み人間。バカとアホ。 人間は鳥たちや他の動物よりも寿命というものが飛躍的に伸びた。そのため働けなくなる時間も生きなければならない。その働けなくなる時間のために、働ける時間で稼がなければならないから、より労働は重くなる。 とはいっても、長生きして、うまいものが食いたい。搾取されても生きていけるだけのお金を稼がなければ、と考えるのが搾取される側の本音にある。ということで搾取する側とされる側、これは人間が存在する限り永遠に続く、それしかない。 国および戦争がなくなれば搾取される側も少しは楽になる。ただそれだけのこともできない。 鳥たちよりも頭でっかちになったけれど、アホなんです。 もう一度断っておきますが、先に挙げた新聞小説のストーリーとこの文章の内容とはまったく関係ありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.05.16 05:50:21
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