「ヲコ幻想」をエンジンにして、サピエンス全史を読む45
㊺ 人類はどこまで巻き戻したら、戦争はなくなるのだろうか、定住によって「私有」意識が目覚め、それが戦争の起こる始まりになる。当然のことながら歴史はそこまで巻き戻せない。それよりも「私有」はますます拡大しているのである。もともと国家は「私有」のために発生したのだから、「私有」が拡大すればするほど、国家も大きくなる。国家は「私有」と協力関係にあり、しかもこれを隠そうとする。そして、近代国家は貧民を守る家であると主張する。貧民よ、お前たちはありがたい家に住まわしてもらっているのだから感謝しろ、まして悪口なんか言うな、とお国さまは言いなさる。核兵器を持たないと主権国家とはいえない、というコトになる。「核兵器みんなで持てば怖くない」である。お隣さんも持っているのだから、うちにも欲しいのである。「人類死ぬときゃみないっしょ」ならいいが、自分だけ死ぬのは嫌だな。やっぱ、放射能は怖いわな。 「私有」を逆流させると何をともなうか。「私有」は自然には下流に流れないのである。「私有」するものが意図的に流さないとそうならない。その意図に何が含まれているか、含まれているものがなんであれ羨望を受けるということである。羨望には必ず嫉妬が含まれている。悪意の妬みである。「私有」を逆流させる長者はそれを十分にわかって、そうするのである。それは財と引き換えに大衆の心を「私有」することである。今回のZOZOのM氏のことを、インターネットで見てのことである。おまけに「ヲコ幻想」までついている。もてるひとの「私有」と大衆の「嫉妬」の対立になってしまった。あまりこういうのに興味を示すと下品になるというか、いい年をしてやっぱり嫉妬しているんだと思えるからやめとこう。 サピエンス全史の13章に戻る。 近代科学には教義はない。とはいえ、共通の核となる研究の方法はある。そうした方法はみな,経験的観測結果(少なくとも私たち五感の一つで観測できるもの)を収集し、数学的ツールの助けを借りてそれをまとめることに基づいている。(p63) 数学的ツール、数字と記号、これが世界共通の言葉になっている。0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,この10個の数字と記号だけで、宇宙から人間の遺伝子まで表現できる。話す言葉や文字が違っても共通認識できるということである。神よりも信用できると信じているひとが多くいる。AIの判断は絶対真理になるのだろうか、それとも神と同じように手段の道具にすぎないのか、これから先のはなしである。