楽天、TBS株買い増し
楽天がTBS株の買い増しを発表しました(こちらを参照)。楽天は、4月19日に市場外相対取引によりTBS株の0.79%を取得し、全部で19.86%、37,770,900株の株を保有しているそうです。さらに市場内取引、市場外相対取引によってTBS株を買い増しし、20%を超える株式を保有することを、TBS取締役会に通告しました。また、TBSの社外取締役に、CCC社長の増田宗昭氏、楽天の三木谷社長を選任し、TBSの新買収防衛策が取締役会の裁量過大であるとして、株主総会の特別決議で決めるように定款変更する、という、株主提案をしています。3月30日の株主総会において、楽天の三木谷社長は、TBS問題について、インサイダー取引になってしまうので中身については何も言うことができないとしながらも、今後、インターネットと放送メディアの融合について抱負を語っていましたが、いよいよ実行に移すことが明らかになりました。TBS株買い増しによって楽天が狙っているビジネス展開などについては、楽天の適時情報開示(こちらを参照)に書かれているので、ご興味のある方はご覧ください。楽天の手がけている「電子商取引」事業にとって、テレビのマルチキャスト媒体は必要不可欠の媒体だと私は思います。楽天の開示情報の中には、楽天側からTBSに対するの熱いエールが書かれていますが、楽天の発展にとって、日本のIT産業の発展にとっても重要な意味を持つものです。楽天の業務提携提案が功を奏するかどうか私にはわかりませんが、20%超まで買い増しすることが、果たしてプラスになるかマイナスになるか、今後の交渉次第なのでしょう。ですが、私が不安に思うのは、日本では既存メディアのITアレルギーが強くて、ライブドアの時のような、猛烈なネガティブ・キャンペーンが起こるのではないか、ということです。昨年9月にも、きちんと運営されている楽天のビジネスについて、「楽天の断末魔」が聞こえてしまう著名経済評論家までいました。楽天からTBSへの通告の内容は、ていねいに誠実に書かれていると私は思いますけれども、マスコミがねじ曲げて書いてしまえば、日本中で非難の嵐が吹き荒れるということになりかねません。TBSからの適時情報開示、「楽天株式会社からの当社株式買い増しに関する通告について」(こちらを参照)には、必要情報と定められている事項というものが添付されていて、楽天も出来る限りその指定に沿って情報開示しながら通告を行っているのですが、TBS側の要求は少々意地悪すぎる内容になっていて、私は、今後、不必要なトラブルが起こりはしないか、心配です。例えば、TBSが必要情報としている情報の中で、第三者との意思連絡があるのなら相手方を明らかにせよ、と、言っているのですが、明らかにすれば、TBS側が楽天に株を売却するなと圧力をかけるのは見えています。また、買い付けの対価、その算定根拠を明らかにせよと言っていて、楽天は市場価格と答えているのですが、将来の市場価格などわかるはずもないし、TBSは何を答えさせようと言うのでしょうか?また、株式買い付けの資金提供者、提供条件、担保についても明らかにせよ、と、言っていますが、楽天はかなり自己資金を持っていますが、仮に、TBS株価が高騰した場合、銀行からの借り入れを行おうとすると、TBSはきっと、銀行に圧力をかけるんでしょうね、CMを流さないぞ、とか、不祥事をニュースで流すぞ、とか、やるんでしょうか?TBS経営者の言っていることを見ていると、最初から、業務提携など論外だ、うちの株を買い占めるなどどんでもない、何をしてでも妨害してやる、とでも言いたげな印象を受けます。おとなしくて紳士的な楽天の交渉相手としては、TBSは、相当な荒れ馬だという気がします。楽天株価も、ヤフー掲示板で叩かれるままに暴落の一途をたどってしまうので、三木谷社長にも焦る気持ちがあるのかも知れません。日本人が、もっと真剣に日本の将来を考えている状況があれば、楽天の野心的なチャレンジを応援する声も出てくると思いますが、ライブドアを完膚無きまでに押し潰してしまった日本のことですからねえ。さっそく、TBSラジオ「アクセス」では、IT大嫌いのコメンテーターが、楽天の5400億円の有利子負債はどうするのか、と、いい加減なことを言ってますが、株主総会で、三木谷社長も説明していましたが、5400億円のうち、楽天証券の信用取引、クレジット貸し出しのための負債が4200億円なのであって、又貸しするための資金がほとんどであり、実質的負債は1100億円程度、私が昨年楽天広報に電話して聞いたときにも、資金計画については2年先まで問題ないと明言していました。でも、こういう悪質コメンテーターは、正しい情報を開示しても、何度でも、いい加減なコメントを蒸し返すので、煙のないところに火事があることになってしまいます。昨年も、デタラメ週刊新潮には、本当に参りました。とにかく、楽天経営陣が出した結論なので、この前提で考えるしかありません。TBS株20%超という路線で行くと決めたのであれば、初志貫徹、TBSとの困難な交渉を何とか乗り切って頂きたいと思います。----------------理工系受験生向け大学入試問題研究サイトはこちら大学入試問題検討ブログはこちら----------------コメント、トラック・バックはこちらへお願いします。