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カテゴリ:ザルツブルグ
最初の住まいの向いのカフェレストランには、 お昼のランチに時々行きました。 日替わり定食メニューが2コースあって、 どちらもスタンダードなオーストリア料理 という感じでした。 オーストリア料理、特にザルツブルグのものは、概して塩辛く、 ここの フリタッテンズッペ も塩がよく効いていたものです。 因みに、ザルツブルグとは、塩の砦という意味で、 この地方では、今でも岩塩が産出しています。 塩はその昔、とても高価なものでした。 白い黄金などとも言われたそうで・・・ ですので、塩の強いザルツブルグの味付けは、塩がたっぷり使える豊かなザルツブルグ。 ありがたい塩味の料理、というのが、私の私見。 飲み物代を稼ぐ魂胆だ。 と息巻く、ザルツブルグ人もそこそこいましたけれど。 もっとも高級店と言われるところの味付けは、塩分控えめでした。 健康志向なのでしょうか? ただそれでは、物足りない感じがしたもので、 いつしかそういう席では、食卓塩が欠かせなくなりましたね。 同席のオーストリア人は、それを歓迎する風でしたから、 やはりオーストリア料理は、塩がきいていなくちゃ なのです。 塩がきいていなくちゃは、ザルツブルグ州やチロル州、フォアラルベルグ州の特産品、 ハム、ベーコン、チーズの類もそうです。 本来、保存食なわけですから、塩が濃いのは当たり前。 合成保存料はどうかと思いますし、よい塩でこそ、味が引き立つというものでしょう。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::: さて、カフェレストランに話を戻すと、ここは居心地がよかったです。 お店の人達とも顔なじみでした。 その居心地のよさは、ちょっとレトロな雰囲気と、 丁寧すぎないサービスにあったと思います。 少し古いインテリアというのは、落ち着くもの。 そして、サービスが自然というのは、こちらも気負いなく自由でいられるもの。 チップを奮発して欲しい風もなく、常連になって欲しい風もなく、 誰に対しても最小限の笑顔でのもてなし。 塩の効いたスタンダードな定食メニューと、お店の雰囲気、サービスが よく調和していたと思います。 お店のマダムは、カウンターで、グラスを磨いているのが常でしたが、 時々マダムから話を聞くこともありましたね。 日本食のレストランで、どんなものを食べたとか、また違うものを食べてみたいけれど、 店が忙しくてなかなか出かけられないとか・・・ 他愛のない話かも知れませんが、ちょっとした日常の会話というのは、 不思議と気分が安らぐものです。 そして、マダムの人柄だったのでしょう。 そうしたやり取りのいくつかやその時の光景は、今でもこころに残っています。 次の住まいに引っ越してからは、足が遠のきましたが、 たまに寄ると、全てのことは、いつも通りでした。 しかし、ザルツブルグを離れる前に、挨拶がてら訪ねてみると、 突然、経営と内装が変わってしまっていて・・・ その時はショックでしたね。 もう1度定食を食べ、マダムには、お礼が言いたかったです。 今でもグラスをリネンで拭いたり磨いたりする時は、 よくマダムのことを思い出します。 手早く慎重に磨き、曇りがないかライトにかざして・・・ グラスを持つあの姿に、人柄がよく表れていたなと、つくづく思うものです。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::: そしてもう1人、気になるのは、 住まいの最上階に住んでいた1人暮らしのお兄さん。 カフェレストランには、私よりよく行っていたのではないかと思います。 たまに夜、お店に行くと、彼の隣には、必ず女性がいました。 が、それはいつも別の人。 お兄さん本人に、その気はなさそうで、くつろいでいるような、困っているような・・・ というパターンを見かけました。 で、そんな様子もこのお店と、妙にマッチしていたと思います。 ヤングエクゼクティブ風のお兄さんで、ザルツブルグには珍しいタイプ。 私には親切でしたね。 味にしても、人にしても、こうして思い出すということは、 魅力がある という1つの証でしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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