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カテゴリ:義家族話
チュソク(中秋の名月)で、ソウルの兄嫁さんは毎度のことながら、
難易度高い発言や行動に出ていたが、 兄嫁の笑えるところは、言いたい放題しゃべりまくってるうちに、 自分にとっても不利なことを、うっかりポロッとこぼしてしまうところ。 憎めないと言えば、聞こえはいいが、充分憎らしいことにかわりはない(笑) 今回も、 「あたし、引越しするの、話したよね?」 と、唐突に話を振ってきた。 話したよねも何も、普段電話やメールのやりとりもないから、 聞いた覚えがないので、 「いいえ。」 と答えると、明らかに、兄嫁は やっべ~~~~っ てな表情を一瞬見せたが、すぐにぺらぺらしゃべり出した。 「引っ越すの。カンナムに。」 カンナムというのは、ソウルを流れる大きな川、漢江を挟んで南の地区で、 日本で言うと、山の手、お金持ちが多い地区らしい。 兄嫁さんは結婚して以来、このカンナム地区に住むのが夢で、 そのために、美容院を出してみたり、エステをやってみたりしては、 ことごとくポシャリ、パンダ母の顰蹙を買っていた。 わたしが 「よかったですね~。カンナムだなんて。」 と適当に相槌を打つと、多分、本当はとっても嬉しいのだろうに、 兄嫁は、眉間に皺を寄せ、他に誰もいないのに、わたしの耳元でささやいた。 「別に引っ越したくて引っ越すわけじゃないの。」 「へぇ~。」 特に聞きたくもないし、ほじくりたくもないので、わたしはあっさりと流す。 すると不思議なもので、人は聞かれないと、どんどこ自分から話し出すのだ。 「あまりにも、色々あってね。 もう嫌なことだらけで。」 「そうなんですか。」 多分、ここで韓国アジュンマなら、根掘り葉掘り聞き出すのだろうけれど、 奥さんときたら、あまりに淡白だったかしら? 「・・・・H(下の娘さん)が登校拒否になって、 半年くらいずっと学校行ってないの。」 「え?そうだったの?なんで?」 「学校でいじめられてたみたいで。 Hもほら、自慢しぃなとこあるでしょ? 成績はいいし、スタイルもいいし、バレエも得意じゃ、 目立つわよね~。」 (あ・・・あなたまで自慢ですか?) 「そんで、先生にも協力してもらって、一時はおさまったの。 でも、どうしても一人だけしつこく嫌がらせする子がいて、 Hがトイレに呼び出されて、パパに携帯で助けを求めたのよ。」 「はい、はい。それで?」 「そしたら、パパがHに、 『遠慮しなくていいから、思いっきりぶっ飛ばしてやれ!』 って言ったもんだから、Hったら、本当にありったけの力こめて、 その子をぶっ飛ばしたらしいの。もう顔ぼこぼこだったわよ。 その翌日からずっと学校行ってないの。 今回、学校の先生方が転校するのすごく残念がってくれたわ。 Hは頭もいいし、スポーツもできるから。 体育の先生なんてHが転校するなら、 自分も辞表出すっておっしゃってたくらい。」 「・・・・・」 そんなに先生方には人気あるのに、生徒には好かれなかったんですね? とは言わなかったけど、話八分で聞いてもおかしくないか?? 中学1年生だ。 色んな小学校から色んな生徒が集まって、韓国は3月始業だから、えっと、 半年前って言ったら、え?4月でしょ? 入学早々1ヶ月くらいで、先生方が揃ってHをべた褒めなんてありえんだろう? どんだけ素晴らしい学生なんだ?? 先生方のリップサービス? 兄嫁の妄想?? まあいいんだけど、そのバレエよ、バレエ。 バレエすら 「バレエもさ、年に一度の発表会あるでしょ? ソロで踊らないと恥ずかしいのよ。 Hくらい長くやってて、上手いと。 でも、ソロで踊ると、500万ウォン(50万円)かかるのよ。 で、今回、バレエはやめてもらうことにしたわ。」 「え~、もったいない~!!! ソロ踊らなくたって、Hは実力もあるし、上手いじゃないの。」 「みんな踊ってるのに、Hだけソロ無しじゃ、 またいじめられるじゃないの。」 え~、わからないわ、その思考回路・・・ 500万ウォンはあほらしいけど、でも、今回カンナムに引っ越すにあたって チョンセ(韓国の不動産システム。敷金礼金みたいなもので、一括で払って入居し、 出るときにまた一括で戻ってくる。)かなり支払ってるはず。 それを思えば、バレエの舞台くらいと思うけど・・・ っていうか、兄嫁さんは何をどうしたいのかしら?? 「ああ・・・お金が無い・・・ カンナムに行ったら、あたしもちょっとはお金稼がないと・・・ カンナムに行ったら、もうちょっとレベルの高い学生たちがいると思う。 もういじめの心配はないと思ってね。 Hの学校のために無理して引っ越すのよ。」 ????? 「・・・まあ、でも、兄嫁さんカンナムなら セレブなマダムもいっぱいでしょ。 自宅でエステとか始めたら、儲かると思うわよ。」 と言ってみたところ、 「何言ってんのよ、奥! 一日2人お客さん来たら、あたしがもうヘロヘロなのよ! すっごく疲れるんだから!マッサージって!!」 「・・・・」 話にならないとはこのことだ。 会話のキャッチボールというのができない。 親だろう。 子供のためなら、ヘロヘロになろうが、どんな仕事しようが、 歯食いしばってやってやるのが親なんじゃないの?? それに、パンダのお兄さんは、かなりの高給取りだ。 なんで毎回来るたびに金が無いだのなんだの話すのか理解できない。 カンナムに行けば、夢の生活が待ってると本気で思ってるのかな? どこに行っても、嫌な奴はいるし、気の合う仲間もいる。 楽しく賢くつきあえばいいじゃないの。どこででも。 ソロの舞台に立たないくらいでいじめるような仲間なら、自分から蹴ればいい。 でもそういう強さも育ってないうちに、好きなバレエをやめさせるのはどうなの? う~ん・・・ う~ん・・・ でも、実際多いんだよね、兄嫁みたいな人、この国には。。。 と、兄嫁と話していても会話ははずまないし、なんだか不安な気持ちだけが あおられてしまうので、あまり長時間一緒にはいたくないんだよね。 さて、パンダ父。 施設にお世話になって2ヶ月。 規則正しい生活や物理治療のおかげで、家にいる頃よりも、 介護が楽になったような気がする。 脇を少し支えていたら、杖つきながら歩けるし。 髪も、さっぱり散髪されてて、おしゃれさんだった。 そんでもって、パンダ母が 「お父さん、家にいる間に入れ歯作ったらどう?」 と言い出して、即行でどっかから入れ歯師(?)を呼んで来た。 え?歯医者さん行かなくていいの?? そのおじさん・・・誰・・・? よくわからんが、明日入れ歯が出来て納品に来られるらしい。 ????? ねえねえ、あのさ、ほら、薬事法とか衛生管理法とか、 世の中には色々、法ってもんがあるじゃない? そういうのには引っかからないのかなあ?? う~ん・・・ う~ん・・・ というわけで、今日もわたしはパンダ父と留守番なのであった。 久しぶりにクッキーでも焼くか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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