文楽初春公演その2
今日は少し早めに帰って文楽初春公演の残りの部分を見に行ってきた。11日に後半をみて、今回は入れ替えで今まで前半にやっていた部分だ。最初は寿式三番叟で、初春にはよく演じられる。能とかでもやられる松の舞台で、翁の静にたいして、後半の三番叟のにぎやかで躍動感のある舞台。手振り足ぶりが面白く、浄瑠璃もにぎやか、三味線も華やか。住大夫さんが復帰の舞台なのでそれも気になったところ。私が思ったのは、コーラスでもそうだが声を大きく出すというのも、それは練習、修練が必要なのだが、小さい声で声を通すのは倍の技術がいる。そういう芸の力を感じさせる。次が義経千本桜の鮓屋の段、平維盛とは知らずひたすら慕う鮓屋の娘お里。とにかく好きだという若い子の純情というべきか。ところが、ほんとは妻子もある身分の高い人で、助けられた義理で、情けをかけられるとはと悲しむ心情の落差が、かわいそうかと思ってしまう。その兄の権太は、悪もので通っているが、実は自分の妻子を身代りにして、維盛を助けてやろうという、表と裏のある役どころで、なかなか演技力が必要そう。浄瑠璃のセリフと三味線の相の手が絶妙のバランス。最後は渡辺の綱と大江山の鬼の話で、一条戻り橋で女に化けた鬼が出て。最初はそれと知らずに送ってやろうとするが、川に本性が映って、鬼と悟られてしまう。しかし、そこは知らぬふり。送ってくれたお礼にと女が舞を舞うのが、すごくあでやかで美しい。そのあとで、おまえは妖魔であろうと、綱が詰問し鬼の正体を現すが、一瞬の人形遣いも人形も早変わり。雲の上で戦うシーン、鬼が雲にのって逃げていくシーンは宙乗りでダイナミック。