リチウムイオン電池を長持ちさせるためのハナシ
今年もロードバイクAdvent calendarにエントリしてしまった。エントリしてからネタがないことに気がつき、さてどうしたものかと思いあぐねいていた。クリスマスの電飾を眺めていると、昔は電球だったのにLEDになってから賑やかになったなと。そりゃ電球よりLEDは消費電力少ないし、扱いやすい。さて、ここ10年ほどで自転車は変速機が電動化され、その使いやすさに大きな変化が現れた。考えてみるとサイクリングはエレキデバイスで安全性と快適さが向上した。どんなものがあたったかというと・LEDライト・GPSサイクルコンピュータ・電動変速機LEDライトは、クリプトン球の前照灯から比べ、真昼のように明るさえを手に入れた感があった。GPSサイクルコンピュータは、紙地図を不要にし、道に迷うことがなくなった。電動変速機は、クセのあるアナログ的な変速機を、使いやすいものにした。上に示した自転車のエレキデバイスは、力の源としてリチウムイオン電池を使う。高速充電可能なリチウムイオン充電池により電池交換を不要にした。交換不要なので 電池の寿命=エレキデバイスの寿命ということになる。自転車となると金額に糸目はつけずバンバン交換していく方もいるかもしれないし、モノは大事に使うという方もおられるはず。前置きが長くなったが、エレキデバイスの力の源ともいえるリチウムイオン電池を長持ちさせる運用方法を書いておく。リチウムイオン電池といっても、実は多くの種類がある。電池の種類と寿命の目安となる充放電サイクル数について以下に記す。((株)長谷川製作所より引用)リチウム電池の種類とサイクル数 コバルト系:3,000回 ニッケル系:3,000回 マンガン系:3,000回 三元系:4,000回 チタン酸系:18,000回 リチウムポリマー系:500回 リン酸鉄系:10,000回驚くくらい種類ありますよね。百均でも売っている乾電池にマンガン電池とアルカリ電池があるように、リチウムイオン電池にも種類がある。これらは電圧などが異なるため、混ぜて使うことができない。リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、誤ると危険性が高いため、複数の電池を合わせる組電池ではなく、単電池で利用されるのが多いのはそのためだ。どの電池にも3つの状態が存在する。ここでは諸兄等にわかりやすくLEDライトのキャットアイのvolt400を例にする。キャットアイ HL-EL461RC VOLT400 自転車 ライト 充電式 高輝度LEDヘッドライト電池の3状態 保存:消灯状態 放電:点灯状態 充電:充電状態3状態のうち、全ての状態に影響するのは温度である。キャットアイ volt 400は、18650(単2とか単3みたいなものだ)という種類の電池が利用されている。メーカー名はわからないが、温度のハナシをするためにインターネットに落ちていたソニー製18650タイプの電池仕様書を参考にする。3状態の使用雰囲気温度範囲を拾い出すと 充電:0〜60℃ 放電:-20〜60℃ 保存:推奨温度20℃ 、45℃以下であることとあった。この範囲内で使いなさいということだ。60℃は良くて、61℃はダメなのではない。この範囲外やキワに近い領域は寿命を縮めること意味する。あなたの体温37℃だと会社を休めとなるが、36.9℃だってパフォーマンス落ちるでしょ。また、サウナに1時間はいられないように、炎天下の車内に放置もよろしくない。volt400は説明書に5〜40℃の範囲で充電してくださいとある。一般的にもそのくらいだ。特に0℃以下で急速充電すると劣化しやすいので注意。放電(点灯)は範囲外になることは多くないので気にしなくてもOK。また、充電または放電スピードを表すCレートも寿命に影響を与える。先のソニー製電池は、定格容量2500mAhとある。これは、満充電状態から2500mAで1時間流し続ける(ライト点灯)と電池が空っぽになる。これを1Cと呼ぶ。5000mAで放電(ライト点灯)したら2C。逆に1250mAで充電すると0.5Cとなる。このCレートが小さいほど長寿命となる。トレーニングやっている方向けに書き直すとFTP=200Wなら、1時間で200W出し続ければ1倍。100Wなら0.5倍ってのと同じだ。キャットアイのvolt400なら、Hiモードではなく、Lowモードを使ったほうが長寿命だし、わざと低出力のUSBアダプタから充電させた方が長寿命になる。もう一つは、充電率。スマホでいう電池残量率だ。これも0%付近と100%付近を避けると長寿命につながる。空腹状態が続けば餓死してしまうし、いつまでも食べ続けていれば肥満で早死にするのと同じだ。なので、volt 400なら残量わずかを示す赤点灯なら、ボタンを押して消灯すれば充電率0%状態を回避できる。ブルベなら前日に100%にし、100%の状態で保存し続けないということだ。また、100%状態で給電しながら使うのも、延々と食わせ続けるようなものである。volt400の説明書にも長期間使用しない場合は、30分らい充電してからとある。日常的に利用するなら、満充電せず空っぽにもしない程度に利用するのが長寿命の秘訣だ。劣化するから寿命が訪れる。だが、電池は劣化が目に見えにくい。使い続けているとある時に「もう電池の寿命か」と気づくのではないかな。電池の劣化は、電池内部の電気抵抗増大と、安定した電圧を出力継続できるプラトー領域の減少の2つである。何言っているかわからないと思うから、忘れてもらって構わない。それより実のところ電池の劣化メカニズムは解明されていない。ネットで調べればいろいろと劣化について述べているが、それらは要因の1つであり、それだけが劣化原因とは証明は難しい。だが、昔から経験的に温度、Cレート、充電率が寿命に影響するのがわかている。劣化を遅らせる設計、運用が長寿命につながる。で、ここからはオマケなハナシ。リチウムイオン電池製品の利用で気にしておいて欲しいことを書いておくよ。電池特性に合わせた制御設計先に「リチウム電池の種類とサイクル数」で7種類の電池を紹介した。上下限の電圧は、電池種類で異なっている。電池寿命でも取り上げたがキワの向こう側電圧に達しないよう、電池電圧を電子的に制御している。制御するためにBMS(バッテリ・マネジメント・システム)と呼ぶICが仕込まれている。理解あるメーカーなら、ズバリその電池に合わせてBMSをチューニングしている。なので、純正電池以外の電池特性の異なるサードパーティー電池を使うと、思ったほど長く使えない。街中でiphoneの電池交換しても、電池寿命が長くないのは、BMSに対し異なった特性の電池だからだ。大手スマホメーカーは、電池の特性に合わせ、BSMのみならずCPUまでもチューニングするために多額を投資している。一方で小規模なところはありもので出たとこ勝負である。iPhoneは4〜5年利用できるが、アンドロイドPhoneは2〜3年で電池がオワってしまうのがソレだ。スマホはかなり特殊で、動画撮影しながらセルラーへ飛ばすなんてPCレベルでする案件なのに、みんなガンガンやってスマホがアッチッチになっているのを見かける。それが何を意味するかは、これを読んでいればわかりますよね。高度限界リチウムイオン電池の仕様書を読むと標高ウンm以上はダメと書いてあるものがある。先のソニー製は特に記載ないが、モバイル用途以外のリチウムイオン電池だと高度1000mまでとか2000mまでと書いてあったりする。キャットアイvolt400ならそんなことないかもしれないが、リチウムイオン電池なら何でもいいだろという選定すると痛い目に遭うかもしれない。リチウムイオン電池を長持ちさせる運用方法を書いてみた。難しくならないように専門用語を避け深入りせんように書いた。ふーん、そうなのか・・ と読んでもらえたらよき。自動車が電動化されそうな方向にあるなか、電池を知るきっかけになればと思う。クリスマスの夜、いい夢みておくれ。ほいじゃーの。キャットアイ HL-EL461RC VOLT400 自転車 ライト 充電式 高輝度LEDヘッドライト