スキッド・ロウ
大阪の西成「あいりん地区」と云うと大阪人は誰も寄り付かない。東京の山谷「玉姫公園」も同じ理由ですね。ホームレスが多数寄り集まってる。昔は大阪の天王寺公園や長居公園も似たような風景がありましたが、いまは一掃されてます。あいりん地区や玉姫公園なんかの困ったところは、単に低所得者層が集まってるだけでなく、お定まりの不衛生なことと、それに乗じてヤクザが浸透して低所得者のなけなしの生活保護費さえもギャンブルに誘ったりして巻き上げること。山谷にはかつて吉原遊廓がありましたが、戦後「売春防止法」が成立すると消滅して、一部が特殊浴場に転身してるだけですが、西成には「飛田新地」と云う日本最大級の遊郭が今も150軒以上残っています。以前、ここをカメラ携えて歩いてたら、遊郭のオバサンからヤクザにカメラ取り押さえられるから隠しときと注意されたことあります。最も控えめに見積もっても、世界中で約9億人がスラムに住んでいます。しかし、さまざまな(法律にふれる)非公式居住地を含めると、その数は16億人に達し、これは世界の都市人口の1/4に相当するらしいです。もっとも有名なスラム街は...・南アフリカのケープタウンにあるカエリチャ(40万人)・ケニア、ナイロビのキベラ(70万人)・インド、ムンバイのダラヴィ(100万人)・メキシコのネザ(120万人)・パキスタン、カラチのオランギタウン(240万人)ナイロビのキベラでは、電気が通っているのは20%だけで、トイレはそれぞれ50の小屋で共有されています。もっとも衝撃的なのは、カラチのオランギタウンでは、女性の77%がレイプされた報告があります。こうしたスラムのイチバンの問題点は衛生面ですね。下水溝に排せつ物をそのまま流すトイレや、道端で用を足したりするケースが普通になってる。不衛生なトイレを使ってる住民の数 世界一はインドで1億5,719万人。次が中国の1億416万人。それに次いでナイジェリアの5,891万人、インドネシアの3,804万人、ロシアの2,423万人、バングラデシュの2,327万人、コンゴの2,163万人、ブラジルの2,094万人、エチオピアの1,402万人、パキスタンの1,232万人と、ワースト10のうち半分がアジア諸国です。またインドの都市では4,103万人が野外排せつをおこなっており、南スーダンの都市住民の49.8%が日常的に外で用を足してます。冬場は氷点下になるロシアでも、105万人が野外排せつを日常的にしています。アメリカはど~でしょう?アメリカって「ホームレス」のテント生活イメージが強いですが、例えトタン板であれ、ボロアパートであれ、貧困層でちゃんとした住居で生活する人は少ないのでしょうか?アメリカの都市部には「セクション8住宅」と呼ばれる低所得者向けの2種類の住宅があります。1つ目は、政府が民間の家主にお金(通常は家賃の70%)を支払い、貧困層の家賃援助する方式と、2つ目に政府が建設した公共住宅を提供する方式です。この2つの住宅システムとも居住者の麻薬検査を行っているため、麻薬中毒者はそこに住む資格がありません。それがアメリカのホームレスによるテント生活に拍車をかけてるのですね。また、アメリカの多くの都市には浮浪者防止法があるため、仮設住宅を建てることもできないのです。多くは夜にホームレス保護施設に行き、ある者は橋の下や裏道で暮らし、またある者は放棄された建物に住んでいます。私が知る限り、LA(ロサンゼルス)はアメリカ中で、もっとも危険な街のひとつでしょう。いぜんLAに行ったとき世話してくれたLA在住の日本人オバサンは、白昼、バスに乗ってて下げていたバッグをナイフで切って中身を盗まれそうになったらしい。乗客の多くが、指差しで合図してくれたので気づきましたが、その行為をおこなってた人物は停留所で平然とバスを降車していきました。LAでは特に夜は路上でタクシーをつかまえようとしても、無視されて走り去られますものね。レストランなんかを利用したときは、お店からタクシーを呼んでもらわないと乗車できませんでした。そんなLAでもダウンタウンの中心部にあるセントラルシティ・イースト、通称「スキッド・ロウ(Skid Row)」は特段の危険地帯です。ホームレスによる路上生活だけでなく、ほとんど治療を受けていない精神障害者や薬物中毒者が多く、貧困層やマフィアによる犯罪多発地帯なんです。つまりアメリカの場合は貧困と薬物とマフィアがセットになってる点で、他の国よりもっと厄介なんですね。しかも、この地区は有名な観光スポット「リトルトーキョー」の南側に隣接してるのです。西部は行政機関や超高層ビルが建ち並ぶビジネス街で、ロサンゼルス現代美術館やウォルト・ディズニー・コンサートホールもこの地域にあって、北部には中華街があります。2000年のスキッド・ロウ人口調査によると、この地区で住んでる人は15,974人。ホームレス人口は全米最大とされてます。人種別内訳は白人18.6%、アフリカ系アメリカ人34.6%、アジア系15.1%、ヒスパニック系など27.9%となってます。スラムの常として、スキッド・ロウでも食べ残した物は路上に捨てられ、捨てられた衣類は山積みになり、これがネズミの繁殖に拍車かけてます。それが何をもたらすのか?「発疹チフス」です。市当局はスキッドロウを「発疹チフスゾーン」と宣言して、衛生面での改善に取り組んでますが、住民があんなだから焼け石に水なんですね。西成あいりん地区のホームレス集合場所「三角公園」に女性だけで行くのはお勧めしませんが、行っても危険なことはありません。何よりホームレスの大多数は高齢化が進み、かつ普段の栄養バランスの悪い食事から暴力ふるうなんて体力も残ってない。しかしスキッド・ロウでは、ロサンゼルス市警の警察官でさえ、地域を支配する麻薬カルテルやストリートギャングによって犯罪行為と死者が急増していると云います。ロサンゼルスの2つのギャング、ブラッドとクリップスは約30年間ここに存在しており、最近ではコカインとヘロインに加え、フェンタニルもホームレスに提供しています。フェンタニルはヘロインの約50倍の強さが有り、微量で簡単に過剰摂取につながります。ロサンゼルス市警によると、ギャングはホームレスのふりをしてテントの野営地を回りフェンタニルやその他の麻薬を販売しているらしい。売人らは、フェンタニルと殺鼠剤やゴキブリスプレーなどを混ぜて、人々が服用するとどうなるか笑いながら観察しているとも。彼らは文字通り麻薬常習のホームレスをモルモットとして使っているのです。実際スキッド・ロウでは、麻薬取引、人身売買、性的暴行、暴力犯罪は昼夜を問わず発生しています。ここが日本なんかとスキッド・ロウの違いですね。とにかくアメリカと云う国は、あれほど国力があるのに、反面、最底辺の人もゴマンといる。やはり麻薬、銃、マフィアの存在が拍車かけてるのでしょう。そして格差の増長も。日本もそうならないよう注意しないとね。