|
テーマ:洋楽(3395)
カテゴリ:70年代洋楽
'67年にデビューした彼の全盛期は、レコード会社をアイランドに(アメリカではA&M)に移籍した所から始まる。 プロデュースを務めたポール・サミュエル・スミス(元ヤードバーズ)との息はピッタリで、'70年の『Mona Bone Jakon(白いバラ)』を皮切りに『Tea for the Tillerman』、『Teaser and the Firecat』、『Catch Bull at Four』といった名作を連発していく。 その繊細なメロディ・センスは、同時期のエルトン・ジョンにも迫るものがあった。 Mr.Bigのカバーでも知られる「Wild World」などは、耳に覚えがある方も多いだろう。 また、ロッド・スチュワートやシェリル・クロウなどのヴァージョンで知られる「The First Cut Is the Deepest」もキャットの作品である。 「Morning Has Broken」は、わが国でも「雨にぬれた朝」の邦題で親しまれている名曲で、'71年のアルバム『Teaser and the Firecat』(上ジャケット)に収録。 '72年に全米6位を記録した、キャットの代表作中の代表作だ。 少し前には、さりげなく(?)テレビのCMに使われていたりもする。 雨上がりの朝の風景を描いた歌詞は、童話作家エレノア・ファージョンによるもの。 といっても二人の共同作業というわけではなく、1922年にエレノアが書いた詩にキャットが感銘を受けてメロディをつけたのがこの曲だ。 イントロから流れるピアノの美しいこと。これだけで多くの人が「名曲だな」と思うだろう。 ここでの演奏はリック・ウェイクマンによるもの。 湖水のように透き通ったその音色と旋律は、聴くほどに心が洗われる。 クラシック上がりの素養を持つリックならではの名演と言うべきか。 続いて出てくるキャットのヴォーカル。声質には少しクセがあるものの、優しさと温かみを持ったチャーミングな歌声だ。 メロディはナイーヴにして美しく、高尚でみずみずしいエレノアの詩とぴったり結びついている。 生々しい音色のアコースティック・ギター、聖なる響きに満ちたバック・コーラスも素晴らしい。 全体としてはシンプルな仕上がりだが、それゆえにひとつひとつの音がキラキラと輝いている。 もう35年以上前の作品だが、今聴いてもまったく色褪せていない、時代を越えた一曲だと思う。 この曲は、ニール・ダイアモンド、アート・ガーファンクル、アーロン・ネヴィルといった名だたるアーティスト達にカバーされた。 アルバム『Teaser and the Firecat』は、他にも美しい曲がいっぱいに詰まった名盤中の名盤(くわしくはここを参照)。 70年代英SSWものの代表する一枚として、一聴をおすすめしたい。 つーコトで「Morning Has Broken」を聴くにはここをクリック! なお、彼がキャット・スティーヴンス名義で活動したのは1978年まで。 以後の彼はイスラム教に改宗し、名前もユスフ・イスラムと改めて教育家、慈善活動家としても活動を行った。 音楽業界から離れていた時期もあるが、2006年にはアルバム『An Other Cup』を発表し、ミュージシャンとしても健在を示している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[70年代洋楽] カテゴリの最新記事
|