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テーマ:洋楽(3396)
カテゴリ:90年代以降の洋楽
恐竜が地上に姿を現すのは90年代になってからのこと。 マスシスのダルな歌声、ノイジーなギター・サウンドとポップなメロディを信条とするダイナソーJrは、同時期のオルタナ/グランジ・ブームの相乗効果もあって人気を博した。 『Bug』('88年)、『Without A Sound』('94年)といったアルバムは僕もよく聴いた。 最終的には90年代を代表する存在にまで昇りつめたものの、傑作『Hand It Over』(※'97年)を発表した後、ダイナソーJrは活動を停止する。 が、"恐竜が倒れた"と聴いた時、僕は特に淋しさも驚きも感じなかった。 ふーん、そうなんだ ま、そのうちまたテキトーに音楽をやるんだろうな。 ↑こんな感じだった。 で、2000年に入って発表されたのが、J・Mascis+Fog名義での1stソロ『More Light』(上ジャケット)だ。 「Sameday」は、その冒頭を飾るナンバーである。 のっけから爆音ギターが無神経に炸裂する。 バカ正直なくらい直線的なビート。 そんな演奏にのせて、やる気があるんだかないんだか分からないような声でマスシスが歌う。 沈むようでいて、あっけらかんとした雰囲気、ふてぶてしい存在感。 そして、人懐っこくメランコリックなメロディ。 うーむ。 恐竜時代からの彼を知っている人は多かれ少なかれ思うだろう。 "なんだよコレ、ダイナソーJrと全然変わらないじゃん!" と。 で、そう言われたマスシスはこう答えるに違いない。 「そうだよ? っていうか、これ以外にナニをやれっていうんだよ?」 そして、きり返された僕はこうつぶやくのだ。 「……そりゃ、そうだな」 と。 そう。大胆な変化や音楽的挑戦など、(おそらく)誰も期待していない。 マスシスの存在意義は"どれ聴いても同じ"。 彼の音楽は金太郎アメであり虎屋のようかんなのだ。 何よりもいい曲なのだから文句が言えない。 ポップな歌を書けば、その時点で勝ちなのだ。 マスシスならそれをやってくれる。たとえ恐竜名義だろうが、ソロ名義だろうが。 彼は見事にその期待に応えてくれた。それが何となく分かっていたからこそ僕は、ダイナソー解散の報ものほほんと受け取れたのだ。 その後、2002年に2ndソロ『Free So Free』を発表したマスシスは、2005年にダイナソーJrを復活させフジ・ロック・フェスティバルに出演する。 そして2007年には、オリメンによる素晴らしいリユニオン・アルバム『Beyond』を聴かせてくれた。 「やっぱり恐竜名義にするか。どうせ同じだし」 ↑こう思って、ダイナソーJrを復活させたのかどうかは知らないが、マスシスが今もいーかげんな、だけどステキな音楽家である事は事実なのである。 『More Light』には他にもステキな曲がいっぱいさ~。 とりあえずここをクリックして「Sameday」を聴こうぜぃ。 ※ ポム・スフレのメインHPではダイナソーJrの名盤『Hand It Over』について取り上げています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.06.13 12:36:50
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