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テーマ:洋楽(3394)
カテゴリ:70年代洋楽
ウェストコースト・ロックとAORの中間をいくような、ポップで耳なじみのよい音楽性が特徴で、マニアの間では"幻の名グループ"として知られている。 70年代洋楽ファンの中には"さわやか系一発屋"として記憶している方もいるだろう。 そのメンバーには、イーグルスのバーニー・リードンの実弟であるトム・リードンや、後にグレイトフル・デッドのメンバーとなるブレッド・ミドラントなどがいた。 先述の「Wham Bam(恋のバンシャガラン)」は、歌謡曲にも通じる親しみやすいポップ・チューンで、確かにいい曲だ。 だが、その影に埋もれているメランコリックで美しいバラードにこそ彼らの真価があると言えるだろう。 アルバム三曲目にあたる「Memory」は、その事を証明するとびっきりの一曲。 去っていった恋人への想いを歌う、すがすがしくも哀しい響きを持った名バラードだ。 優しげなタッチのピアノ、厚みのあるストリングスからしてグッとくる。 イントロに続いていきなりサビに入るという、バラードとしては珍しい構成で、清涼感あふれるコーラスと美しい"泣きのメロディ"が涙腺を刺激する。 アレンジや楽曲の作りもムダがない。 郷愁を誘う雰囲気、「Ohh...In My Memory」というカタルシスを伴うエンディング。 甘酸っぱく"出来すぎ"な感もあるため、ともすれば「クサい」と言われそうな気もするが、万人の心に訴えかけるものを持った一曲だと思う。 この曲は「Wham Bam」に続いてアルバムからシングル・カットされた。 なのに売れなかった。まったく売れなかった。 その理由が自分にはさっぱり分からない。 こんなにいい曲なのに。ヒット性も充分あったのに。 ひょっとして何かの陰謀が働いていたのではないか、と疑いたくなるくらいだ。 アルバムも素晴らしい出来だったにも関わらず、セールス的には惨敗(全米チャート142位)。 商業的な失敗もあってか、彼らはなんとデビューしたその年('76年)に解散してしまう。 なんという短命。シルバーはあまりにも悲運な名グループだった。 だが、その後にはいくつかの忘れられない名曲が残った。 この「Memory」だけでも、シルバーはポップス史において充分価値のある存在だったと思う。 彼らが残したたった一枚のアルバム『シルバー・ファースト』(上ジャケット)は、今でも僕の宝物だ。 「Memory」を聴くにはここをクリック! ※ポム・スフレのメインHPでは名盤『シルバー・ファースト』について取り上げています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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