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テーマ:洋楽(3394)
カテゴリ:レッド・ツェッペリン
Zepの代名詞ともいえる「Whole Lotta Love」がやはり一番人気だろうか? 脳を突き刺すようなリフとハードな演奏でゴリ押しする「Heartbreaker」だろうか? 自分の場合は、アルバム四曲目にあたる「Thank You」である(その日の気分でコロコロ変わるけどw)。 LPでいうA面の最後に置かれた曲で、ハードロック・バンドとしてのイメージが強いZepの「静」の部分が表れた作品だ。 作者は、ジミー・ペイジ先生とロバート・プラント。 「太陽が輝かなくなっても、僕は君を愛し続ける」という一節を軸とした、牧歌的ラヴ・ソングである。 初期の段階ではジミヘンの「If 6 Was 9」を思わせるヘヴィな曲だったらしいが、最終的にはアコースティック風味が強い仕上がりとなった。 Zepとしてはポップな作風で、広がりのある演奏と穏やかな曲展開が味わい深い。 デュラン・デュランが、'95年のカバー・アルバム『Thank You』でこの曲を取り上げた時にはニンマリしたものだ。 曲はジミー先生のギターと共にゆったりとフェイド・インしてくる。 「Whole Lotta Love」、「Lemon Song」とテンションの高い曲が続いた後にこのイントロを聴くと、「ああ、アルバムの前半が終わるんだな」となんだかホッとした気持ちになる。 ジミー先生、ここでは12弦ギターを持ち出して頑張っております。 間奏で聴けるスパニッシュ風ソロもいいですね。 プラントの歌唱は曲調に合わせてか、あくまで抑えめ。それでいて、しっかりと情感が込められている所が素晴らしい。中盤でこらえ切れないかのようにシャウトする部分にもグッときます。 ジョン・ボーナムのドラムはこうした曲でも重く響く。Zepのドラマーとして生まれてきた男の性(さが)か。だが、それがかえって演奏に風格を与えてもいる。 そして、ジョン・ポール・ジョーンズの弾くハモンド・オルガンだ。 叙情的で丸みのある音色は何とも印象的で、聴き手を安らかな気持ちにさせてくれる。 自分の場合、コレを聴くたびに思い浮かべるのは夕暮れ時の空だ。 Zepの「Thank You」と帰ってきたウルトラマンには、オレンジ色の太陽がよく似合う。 曲は、このオルガンがしんみりと鳴った状態でフェイド・アウトしていく。 4:20あたりで曲が終わったかと思いきや、数秒の静寂を置いて、フェイントをかけたかのごとくまた音が聴こえてくるという構成がたまりません。 LP世代では、この構成を知らずにレコードをそのままひっくり返していた人も多いのでは? 演奏全体を通しても、このオルガン・プレイが鍵となっていると言えるだろう。 Zepの音楽に幅を与えているのは、ジミー先生のプロデュース能力もさることながら、アレンジャー/キーボード・プレイヤーとしても優秀なジョーンズの存在であることがここでも分かる。 ジミー先生同様、ジョーンズも元はスタジオ・ミュージシャン。 ローリング・ストーンズの「She's A Rainbow」をはじめとして、様々なセッションで養ってきた彼のセンスがしっかりと生かされていますね。 "ハードロックの名盤"として知られるこのアルバムでは箸休め的な位置にあるこの曲だが、1stから垣間見せていたアコースティック嗜好を踏まえたものであると共に、以降の音楽的展開を予告している重要な一曲だ。 ここにあるセンチメンタルの香りは、「演奏にバリエーションを持たせよう」という意図的なもの以上に、彼らが奥底に抱えている"憂い"が形となって出てきた結果ではないだろうか。 こうした多様性と「静と動の振幅」がZepの奥深さであり、後続のバンドに影響を与えてもいる。 この曲は初期のステージでもしばしば演奏され、後に発売された「BBC Session」でもスタジオライヴ・バージョンが収録された。 なお、1992年のフレディ・マーキュリー追悼コンサートに参加したプラントは「Crazy Little Thing Called Love」を歌う前に「Thank You」の一節を歌っている。 また、後のPage&Plantとしてのツアーでもこの曲は取り上げられ、よりメロウなアレンジで演奏されている。 つーコトで「Thank You」を聴くにはここをクリック。 Thank You For Led Zeppelin... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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