|
テーマ:洋楽(3396)
カテゴリ:70年代洋楽
あるいは「Speed King」が最高という人もいるかもしれない。 言い換えれば、ディープ・パープル=イアン・ギランがボーカルだった第二期であり、"様式的ハードロック・バンド"というイメージを持っている人が多いということだ。 その一方で、デヴィッド・カバーデイル(Vo)やグレン・ヒューズ(b,Vo)を迎えた、いわゆる第三期のメンツで作られたアルバム『Burn』も、第二期の作品群と並んで有名な一枚だ(ジャケット含むw)。 さらに言うなら、このアルバムの人気を決定づけているのは、オープニング・ナンバーでありタイトル曲でもある「Burn」だろう。 確かに、鉄壁の完成度と燃えるような疾走感を持ったその曲は"パープルの代表作"と呼ぶにふさわしい。 だが、それはあくまで「Highway Star」の様式を踏襲したものだ(だからこそ人気があるのだろうが)。 第三期パープルの音楽的面白さは、むしろ他の曲に顕著だと言えるだろう。 その面白さとは、リッチー・ブラックモアのハードロック魂とデヴィッド&グレンのふたりが持ち込んだ黒人音楽指向の組み合わせである。 そこで自分が推したいのが、アルバム5曲目にあたる「You Fool No One」だ。 メンバー全員の共作とされている(※)曲であり、それまでのパープルにはなかったファンキーさが強い印象を残すナンバーだ。 イントロでのつぶやき声(?)が示すようにジャムっぽい曲でもあり、ハイレベルな演奏の中に漂うどこかリラックスした空気が微笑ましかったりもする。 イントロからしてもうノリノリ(←死語)で、その躍動感あふれるリズムはパープルというよりサンタナに近い。ジャズあがりのドラマー、イアン・ペイスの職人的技巧と感性が遺憾なく発揮されている。カウベルとスネアの音色がもうたまんね~ 歌い出しから分厚いコーラスが聴けるのもパープルとしては珍しい。 のちにホワイトスネイクを結成するデヴィッド・カヴァーデイル、元トラピーズにして「ポール・マッカートニー以来の歌えるベーシスト」(By リッチー)であるグレン・ヒューズ、という二人のヴォーカリストの存在を前面に押し出した、胸おどるハーモニーだ。 腰のすわったデヴィッドのヴォーカル、"ヒステリックなスティーヴィー・ワンダー"といったグレン歌声の対比も聴きどころ。 そしてリッチーのギターである。 リッチーは黒人音楽があまり好きではないらしく、自分の色が薄められていくことに不満を持っていたらしいが、ここでは存在感のある良い演奏を聴かせてくれる。 特に間奏部分は、彼らしい個性を保ちつつも黒っぽい楽曲にピタリとはまったソロが聴ける。 激しさやテクニックよりも一音一音のフレージングを重視したプレイは、タイトル曲のソロとはまた違ったカッコよさだ。 要所要所で飛び出す、バネが伸びるようなチョーキングも最高っす。 バッキングに徹しているものの、ジョン・ロードのオルガンも熱いアツい。 まさしく「ファンキー・ハードロック」。 音楽観の違う者同士が微妙なバランスで渡りあっていた、第三期パープルならではの名演だ。 パープルのカッコよさはハードロックだけじゃないですぜ つーコトで「You Fool No One」を聴くにはここをクリック。 "カリフォルニア・ジャム"での演奏はもっとスゴいぞ~。 ※ 当時はグレン・ヒューズの名は契約問題によりクレジットされなかった。 * ポム・スフレのメインHPではディープ・パープルの名盤『Burn』について取り上げています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[70年代洋楽] カテゴリの最新記事
|