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テーマ:洋楽(3396)
カテゴリ:70年代洋楽
若い人向けに言うなら「Perfumeのおじいちゃん」といったトコロか? そしてそのイメージは、出世作にして全米第5位を記録した名曲「Autobahn」('74年)や、代表作とされるアルバム『Trans Europe Express』('77年)あたりから来ているものだろう。 もっとも、反復するシンセのリズムをポップ・ソングとして初めて使ったのは彼らではない(※)し、全盛期である70年代にはむしろ「ジャーマン・プログレ」と呼ばれることが多かったらしい(というか当時は『テクノ・ポップ』という言葉がなかった)。 が、クラフトワークがいなければデヴィッド・ボウイの名盤『Low』や『Heroes』は生まれなかったし、YMOが存在したかどうかも定かではない。 ヒップホップへの間接的な影響なんかも考えると、やはり彼らにはそのような栄誉ある称号(?)が贈られてしかるべきだと思う。 反面、新しいものを作ったイノベイター、あるいは時代の先端を走ってきた者は、時代に追いつかれた時を境にして輝きを失っていく事が少なくない。 クラフトワークは悲しいかなその一例だったように思う。 '78年に発表された『The Man Machine』(上ジャケット)は、傑作の一枚であると共に彼らが"時代"に追いつかれる瞬間を記録した作品である。 本作の邦題は「人間解体」。 ロシア構成主義風のジャケット・デザイン、自分達をロボットに見立てたイメージ戦略、そして無機質さを強調した音楽性は当時「文明社会への警鐘」とかなんとか言われたらしい(笑 モミアゲを落としたヘア・スタイル、赤で統一したファッションはまんまYMOに影響を与えた。 ちなみに、自分が持っているCD盤のレビューを書いているのは"メタル・ゴッド"こと伊藤政則だ。ほげー そのオープニングを飾る「The Robots」はアルバムを象徴するナンバーであり、クラフトワークの代表作とされる一曲である。 ジャーマン・プログレの名残を残したイントロには一瞬、緊張感が漂う。 が、メインとなるそのサウンドは、現在の耳で聴くと見事に古臭い(笑 だが、"古臭い"ということと"音楽として魅力がない"ということは必ずしもイコールにはならない。 あまりにもベタなロボット・ヴォイス、ピコピコしたテクノ・ビートは、チープながらアナログ的な温かみを感じる。 シンプルで音の薄いプロダクションは、現在のテクノとは似て非なるものだ(つーか似てない)。 メロディは単純で同じフレーズを淡々と繰り返すだけだが、気がつくと一緒に口ずさんでいたりもする。 言ってみればポップなのだ。それもある意味能天気な。それでいてジャーマン・ロック特有の冷たさを持っている所がミソですね。 サンダーバードみたいな雰囲気を持ったPVにも萌えです。う~ん、れとろふゅ-ちゃー(←棒読み このアルバムの同年にはYMOがデビュー。 '77年にデビューしたウルトラヴォックスは、傑作3rdアルバム『Systems Of Romance』を発表。 さらにはディーヴォ、OMD、ヒューマン・リーグなどの台頭もあり、テクノは次世代の者へとバトンが渡されることとなった。 一方、クラフトワークの方は、サウンドに軽快さを増した傑作『Computer World』を'81年に発表する。 当時のメディアからは酷評されたという作品で、クラフトワークの代表作として挙げるには個人的に違和感が残るものの、今の若いテクノ・ファンが聴くならむしろこちらがオススメだろう。 が、5年のインターバルを置いて発表した『Electric Cafe』('86年)は、悪い作品ではなかったものの、その時は"時代に置き去りにされた"という感が強かった。 以後は10年以上も作品の発表がなく(既発表曲のリミックスはあった)、そのまま「過去の偉人」として消えていくかと思われたクラフトワークだったが、20世紀の終わりに万博のテーマ曲、その名も「EXPO 2000」を発表。 開き直りとも伝統芸ともとれるサウンド、楽曲には誰もが拍手を送った(良くも悪くもだが)。 そして'03年には17年ぶりとなる新作アルバム『ツール・ド・フランス』をリリース。「偉大なるマンネリ」にほんの少しの現代風味をまぶした内容には思わず「頑張れー」と言いたくなりました '05年にはライヴ・アルバムもリリースし、「現役」をアピールする元祖テクノ親父たち。 温故知新も含め、まずは70年代の作品から聴いてみよう! つーコトで「The Robots」を聴くにはここをクリック。 We Are The Robots... ※ シーケンス・リズムを初めてポップ・ロックに活用したのはThe Whoだと思われる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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