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テーマ:洋楽(3394)
カテゴリ:70年代洋楽
アーティストの名前は忘れ去られても、音楽は残る。 ↑こういうケースは世の中にいくつもあるが、ヴァン・マッコイという人はその典型だろう。 今や高校野球の応援歌としておなじみの「アフリカン・シンフォニー」、そして70年代ポップスのクラシックとして今も聴き継がれている名曲「The Hustle」を作った才人である。 1940年、ワシントン生まれのヴァンは、四歳の頃からピアノを習い、幼くして作曲もしていた。音楽をやめていた時期もあるものの、'50年代にはドゥーワップのいくつかのグループに参加し、レコードを吹き込んだりもしている。 60年代に入ってからは裏方としての活動を始め、グラディス・ナイト&ピップス、アレサ・フランクリン、スタイリスティックスといった人達に曲を提供したり、プロデュースを手掛けるなどした。 ちなみに、ディスコ・ソウルのスタンダードにして、現在もテレビのCMなどで使われている名曲「Can't Give You Anything(愛がすべて)」もヴァンのアレンジによる作品だ。 その一方で、70年代には裏方業と並行しながら、ヴァン自身もアーティストとして活動を始める。 「The Hustle」はヴァン・マッコイ&ソウル・シティ・シンフォニー名義でリリースしたインストゥルメンタル曲で、1975年に全米1位を記録した、彼にとって生涯の名曲である。 もっとも、彼はこの曲がヒットするとは全く思っていなかったらしい。 「The Hustle」はアルバム『Disco Baby』を作る際、いちばん最後に録音された曲だった。 当時、ニューヨークのディスコでは"ハッスル"という新しいダンスが流行っていた。 ヴァンはそれをアダムス・アップルというナイトクラブのDJから教えてもらった。 その後、アルバム『Disco Baby』を仕上げる段階になって、音楽パートナーであるチャールス・キップスから「ハッスルものを何か一曲作れ」と強く進言されたという。 ヴァンはスタジオの余り時間を使って、文字通りの曲「The Hustle」を作ったのだった。 シンプルで親しみやすいメロディ、お気楽でリズミカルな演奏は楽しいのひと言 特にメイン・リフを奏でるピッコロの音色はホンワカした響きに満ちており、日頃のイヤなことを忘れさせてくれる。 それだけではない。軽快なリズム・ギター、まろやかなストリングス、華を添えるホーン・セクション、そして「ドゥザ、ハッスル!」という合いの手のような掛け声など、ひとつひとつが耳に残る。 同じフレーズを能天気に繰り返す構成も素晴らしい。いつまでも聴いていたいと思わされる"ポップスの魔法"がここにはある。 こういう単純明快な魅力を持った曲って、今は少ないんだよなぁ。そう思いません? 「The Hustle」は'75年の夏にビルボードのポップ・チャートとソウル・チャートの両方でNo.1を獲得。 全世界で1000万枚を売り上げ、グラミーでは最優秀ポップ・インストゥルメンタル部門を受賞。 世界中でディスコ・ブームを巻き起こすきっかけとなると共に、後世に残る一曲となった。 本来はクラシックが好きで、ディスコの型にはめられる事を嫌ったヴァンは、その後もディスコ系のプロデュースをする一方で、テレビ映画のサウンド・トラックなどを手掛けたりもしている。 だが彼は1979年、39歳の若さで急死してしまう。原因は心臓発作だった。 世間ではほとんど"一発屋"扱いされているであろうヴァンの豊かな才能を知っている友人達は、その早すぎる死を惜しんだ。 現在"お得盤仕様"で発売されている彼のベスト盤には、「The Hustle」以外にも色褪せないメロディを持った曲がいっぱいに詰まっている。 つーコトで「The Hustle」を聴くにはここをクリック。 わーい、ハッスルハッスル!\(´ー`)ノ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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