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テーマ:洋楽(3364)
カテゴリ:70年代洋楽
基本的に夏や暑いのがキライなワタシですが、八月の最後の週というのはミョーに淋しくもなります。 オリンピックも終わったし、気分はちょうど"祭りのあと"やねぇ。。。 そんな今の自分にぴったりなのが、ママス&パパスの「Blueberries For Breakfast」である。 '71年のアルバム『People Like Us』(上ジャケット)のラストに収録されている曲だ。 シングル・ヒットしたわけでもなければ、ベスト盤に収録されているわけでもないが、僕がもっとも好きなママパパ・ソングのひとつでもある。 "ファット・エンジェル"ことキャス・エリオットをふくむこの男女四人組がMamas & Papasとしてデビューしたのは'65年。 男女混声による美しいハーモニーとフラワーでポップな音楽性は、"サマー・オブ・ラヴ"のひとつの象徴だった。 おなじみ「California Dreamin'(夢のカリフォルニア)」(全米4位)や「Monday Monday」(全米1位)などはファンならずとも聴いたことがあるだろう。 その根底をささえているのは、メンバーのジョン・フィリップスによる優れたソング・ライティングだ。 また、ルー・アドラー、ボーンズ・ハウ、ハル・ブレインなどの一流スタッフたちによって作り出されたサウンドは、当時の"フォーク・ロック"としては最上のものでもあった。 デビュー以降、わずか三年間で次々とヒットを放ったママス&パパスだったが、グループ内の軋轢により'68年に一度解散する。 メンバーはそれぞれ個人で活動していたが、'71年には一時的にグループを再結成する。 その際にリリースされたのが『People Like Us』だった。 プロデュースは、ほぼ全ての曲を書いたジョン・フィリップスが担当。 が、実際は、残っていた契約を消化するための再結成およびアルバム制作だったようだ。 ここには60年代のような華々しさ、美しさはない。 かわりに"夢から醒めたあと"のような寂寥感、倦怠感がただよっている。 しかし、この雰囲気が僕は大好きだ。 このソフトでくすんだトーンは、60年代のママパパとはまた違った魅力だと思う。 「Blueberries For Breakfast」は、ある意味このアルバムを象徴するような曲だ。 パーカッションがおとなしめに鳴るイントロからして、どことなく気をひかれる。 演奏はメロウでグルーヴィー。 流れるようなメロディは、キャッチーさには欠けるものの耳をとらえる美しさを持つ。 透明感のある女性ボーカルと力のない男性ボーカルの対比、気の抜けたワウ・ギターの音がなんともいえない。 ここには心地よい淋しさがある。 この曲のユルいポップさは、今の僕には「California Dreamin'」や「Monday Monday」よりも魅力的に響いてくる。 途中に挿入されるキャス・エリオットの笑い声もなんだか印象的だ。 それがどこか空しそうに聞こえるのは、この作品が形だけの再結成盤だったからか。あるいは、自分がこの後の彼女の運命('74年に心臓発作で死去、享年32)を知っているからだろうか。 『People Like Us』は商業的には成功しなかったが、ほかの曲のクオリティも非常に高い一枚となっている。 ママパパのアルバムでまっさきに聴くべき作品とは言えないが、ソフト・ロックの隠れた名盤としておすすめしておきたい(くわしくはこちらを参照)。 夏の終わりにぴったりな佳曲「Blueberries For Breakfast」を聴くにはここをクリック。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.28 07:55:23
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