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テーマ:洋楽(3357)
カテゴリ:90年代以降の洋楽
90年代前半の音楽シーンには"パワーポップ・ムーヴメント"なるものが存在した。 60年代を思わせるシンプルでキャッチーなメロディ、直球かつパワフルなギター・サウンドを押し出したバンドが注目を集める様は、"メロディとビートの復権"を強く意識させるものだった。 結局それはメイン・ストリームをひっくり返すほどの動きにはならなかったものの、そのテの音楽にメがない自分はあっという間に夢中になり、しばらくはマイナーなパワーポップ・バンドばかりを聴きあさっていた。 毎週毎週、輸入盤店のパワポ・コーナーをチェックしていたあの頃が懐かしいなぁ。。。(しみじみ ジェリーフィッシュは、そのパワーポップ・ムーブメントの火付け役ともいえる存在だった。 デビューは'90年。サンフランシスコ出身の四人組である。 バンド・リーダーは"歌うドラマー"であるアンディ・スターマー。 メンバーには、元スリー・オクロックにして後に『Aurthor Unknown(詠み人知らず)』というシブい名盤を残すジェイソン・フォークナーなどもいた。 ポップスへの愛情とこだわりを感じさせる楽曲、アレンジメントがこのグループの売りである。 その背後に見えるのは、ビートルズ。ビーチボーイズ、クイーン、チープ・トリックといった偉大なる先人たちだ。ポップスのみならず、Led Zeppelinなどの影響もうかがわせるのがポイント。 デビュー当時の彼らは、レニー・クラヴィッツと並ぶ"レトロ・ロック・ミュージシャン"の代表格みたいにも言われたらしい。 確かな演奏技術を持ち合わせているのも彼らの強みで、コーラス・ワークなどは一日に四、五時間も練習したというハナシもあるくらいだ。 アルバムとしては、2ndの『Split Milk(こぼれたミルクに泣かないで)』が名盤として知られているが、'90年発表の1st『Bellybutton』(上ジャケット)もなかなかに捨てがたい一枚。 その1stに収録の「Baby's Coming Back」は、個人的にもっとも好きなジェリーフィッシュ・ソングである。 初期ビートルズを思わせる、アップ・テンポの楽しいナンバーだ。 曲は、アコースティック・ギターのすがすがしいコード・ストロークで始まる。 はずむようなシャッフル・ビート、タイトなスネアの音に胸がすく。ベタな手拍子も微笑ましい。 メロディは健康的なくらいにポップ度が高く、明快なサビ部分などはつい一緒に歌ってしまう 中間部でマイナー調に切り替わる曲作りもうまい。 Aメロのバックに鈴の音を入れる所などはフィル・スペクターの影響か。 ほかにも部分的にサイケなサウンドが飛び出すなど、アレンジはシンプルなようでよく考えられている。 三分足らずの中に"ポップの職人技"をギュッとつめこんだ、見事な一曲だと思う。 なお、この曲は、バンドのキーボーディストだったロジャー・マニングが2007年にセルフ・カバーしている。 ジェリーフィッシュは二枚のアルバムを出して高い評価を得るものの、メンバーの不仲が原因で'94年に解散。 その後アンディ・スターマーは、同じビートルズ・フリークである奥田民生と親睦を深め、曲を一緒に作ったりしている。パフィーの名付け親であることでも有名か。 他のメンバーもそれぞれに活動を続けているようだ。 なお、アンディとロジャーは、リンゴ・スターのソロ・アルバム『Time Takes Time』('92年)にも演奏、楽曲提供で参加している。 ジェリーフィッシュの曲はポップながら何気に地味なものが多く、「コレで決まり!」というにふさわしい一曲が存在しないのだが、そんな所もミョーに可愛くて好きだ(笑 '93年の来日公演では、ピンクレディーの曲も演(や)ってくれた愛すべきバンド。 そろそろ再結成でもしないかなぁ。。。(´ー`) つーコトで「Baby's Coming Back」を聴くにはここをクリック! ピンクレディーの「S.O.S」をカバーした、珍品ライヴ・ヴァージョンはこちら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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