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テーマ:洋楽(3357)
カテゴリ:70年代洋楽
↑なんていうタイトルの小説をどっかの女性作家が書いていたような気がするが、イギーって実際のトコロどのくらい聴かれているんだろう? メディアの世界では"パンクのゴッド・ファーザー"だの"ロック界のシーラカンス"などと呼ばれてるみたいですけどね。 そういえば最近では、'77年の名曲「Passenger」がソフトバンクのCMかなんかで使われていたっけか。 でもイギー・ポップといったら、「名前は知ってる、でもそれだけ」という人が結構多いような気もする。 いわゆるヒット曲がない、というのも原因のひとつだろうか。 いい曲多いし、アルバムもストゥージズ時代を含めて基本的にハズレはないんだけどね~。 そんなイギーがヘンなポーズをとっている上の画像は、'77年のソロ第一弾『The Idiot』のジャケットである。 同盤のプロデューサーはデヴィッド・ボウイ。 ドイツはベルリンで録音されたこのアルバムは、同地で生まれたボウイの名盤『Low』('77年)とほとんど同時進行で作られた一枚だ。 収録された八曲も全てボウイとイギーの共作という、完全無欠のコラボレーション作品である。 '73年に名盤『Raw Power』(※)を発表をしたイギーだったが、自身のドラッグ中毒のためにバンド(ストゥージズ)は解散し、さらには精神病院に入ることとなる。 一時は病院を脱走してホームレスになっていたとか。 そう思って上のジャケットを見ると、そこに映るイギーの顔は、モノクロの色彩といい表情といい、ほとんどゾンビやねぇ そんなイギーに手を差し伸べたのが、同時期にドラッグ中毒で苦しんでいたボウイだった。 『Raw Power』のミキシングも手掛けたこともあるボウイは、イギーのよき理解者でもあった。 彼はイギーを自分のツアーに同行させたり、ベルリンのハンザ・スタジオに連れていったりして、ミューシャンとして蘇生させていく。 その成果が、'77年に生まれた二枚の傑作『The Idiot』と『Lust For Life』だった。 「Sister Midnight」は、『The Idiot』の冒頭をかざるミドル・テンポのナンバーだ。 作者はボウイとイギー、そしてギタリストのカルロス・アーマーの三人。 カルロス・アーマーは、ボウイの'75年の全米No.1ヒット「Fame」を共作した人物でもある。 抑えたイントロからして、どこか挑発的。 ほとんどワン・コードで押し通す曲構成、重心の効いたファンクビートが強烈な印象を残す。 ハードでゴリゴリしたサウンドには、当時、ボウイの共同パートナーをつとめていたブライアン・イーノの影が見える。 全体を包む無機質で退廃的な感触もなんともいえない。 ジェイムス・ブラウン+セックス・ピストルズ+クラフトワークとでも言おうか。 楽曲、アレンジ共に非常にボウイ色が強く、彼の'76年のアルバム『Station To Station』にそのまま入っていてもおかしくない仕上がりだ。 実際、ボウイは'76年のツアーで既にこの曲を歌っていた。 また、彼の'79年のアルバム『Lodger』に収録の「Red Money」という曲では「Sister Midnight」とほとんど同じカラオケが使われている。 もうひとつ注目すべきは、イギーのヴォーカルだ。 それまでの噛み付くようなシャウト・スタイルと違って、ここではドスの入った低音でねちっこく歌っている。 まるでヤクザに凄まれているような迫力。 この唱法は、ボウイからアドバイスを受けたものだそうだ。 狂犬のように吼えるイギーも最高だが、ここでのヴォーカル・スタイルもシブくてカッコいい。 それに絡むボウイのファルセット・コーラスがまたいい味出している。 ふたりの個性が絶妙に融合したこの曲は、今聴いても充分刺激的だと思う。 ほかにも本盤には「Nightclubbing」、「Funtime」、「China Girl」(←'83年にボウイのヴァージョンでヒット)などのカッコいい曲がいっぱい。 ちょっちアクはあるけど、イギーやボウイのファンはもちろん、そうでない方にもオススメな一枚よ。 つーかイギーのアルバムにハズレはないぜ! んなワケで「Sister Midnight」を聴くにはここをクリック。 同アルバム収録の「Nightclubbing」、「Funtime」とセットでどうぞ~。 ※ ポム・スフレのメインHPではイギー・ポップの名盤『Raw Power』について取り上げています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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