神戸の街
雨の日は外に出るのが億劫になるから嫌いだ。けど、外に出て景色を見たら木々が雨にぬれて葉の色がしっとりと淡い緑で彩られていた。雨のせいなのか、外も静かでそんな光景を見ていると雨の日がなんだか好きになってきた。神戸の街は本当に綺麗だ。六甲山に囲まれていて緑が目の前にある。神戸の街の素晴らしいところは美しい自然の中に美しい建物が組み込まれているところだ。六甲山と港の海に囲まれたこの街は僕の知る限り、ずっと昔から癒されるような美しさをもっている。遠い街から新幹線で新神戸駅に着いたときこの街のもつ美しさをいつも思い知らされる。神戸の魅力は三宮とか元町とかそういった中心街ではない。本当のよさは人が住むところとしての環境にある。神戸の雰囲気を楽しむのなら僕だったら新神戸から芦屋にかけて山麓線と山手線を歩く。ちょっとした路地や洒落た建物、そして緑。僕は今でも美しい街とは何なのか時々考えたりしている。昔の日本はもっと綺麗だったような気がする。いつから変わってしまったのか。それを大学生のときずっと考えてた。勝手な憶測だけれどその原因は戦争のせいではないだろうか。戦争という大きな悲劇のせいで根付くべき日本の風景が戦後の刺激的な経済成長のせいで根こそぎなくなってしまったように思う。けれど、この神戸は違うと思う。神戸らしさは、きっと昔から変わっていない。色々と資料を調べたことがあったけどたとえば阪急沿線の雰囲気は昔とそんなに変わっていないように思う。震災によって、変わってしまったところもあるけれどより神戸らしくなっているところもある。ということはこの街にはまだしっかりと神戸の街たる根が残っているような気がする。神戸を離れた友人はみんな言う。神戸に帰ってくると落ち着くって。僕はこの根こそが生きていくうえで欠かせない要素のひとつだと感じている。この神戸にあるように他の街や地域にもきっとあると思う。それを知り、それを守っていくことがとても大切なことだと考えいる。