我敢えて「ことば」に拘りたし
不肖この私,十数余年も雑文駄文をものしているところであるが,それでも最低限の拘りというものはある。もともと学が大してない分,少なくとも言葉というものにはこだわりたいのだ。もちろん,私は英語が出来なくて志望する大学に2度も落ちたくらいであるので,横文字には弱い。その代わり,漢語,和語には拘り抜いているつもりだ。一応国語辞典や漢和辞典,古語辞典は手元に置いている。特に意外と重宝しているのは古語辞典である。ストレートに表現するときつくなるようなことでも,やまとことばで表現すると少しは丸くなったりするものだ。まああと,お遊びで文語文法を使ったりするときなどは必須アイテムであることは言うまでもない。それだけに,変な言葉遣いとか,妙ちきりんな言葉が出てくると,なんとなくざらっとした感じがするのだ。だからどうだというのではない。もちろん神経に障ると言うほどのものでもない。敢えて言うならネタにして遊びたくなるという程度のものだ。今日も,某ショッピングモールで見つけた呉服屋の宣伝文句に「訪門着11,100円~」などというのを見つけてしまい,あーあこんなんじゃいかんなあと思ったりもした。SNSにアップしたりはしなかったが。ところで,今日は非常に寒い中カープファン感謝デーが行われたわけだが,そこでは例年来年度のキャッチフレーズが発表されることになっている。今年のキャッチフレーズは言うまでもなく昨年のファン感謝デーで発表されたわけだが,それが「真赤激」。もう詳細は忘れてしまったがここ数年の路線の中でもぶっ飛んだと言ってもいいぐらいのものだったので,本当に心の中がざらざらとする気持ちだった。で,その看板を背負ってセントラルをぶっちぎりで優勝した今年,発表されたキャッチフレーズが,「カ舞吼」。これはもうざらつくというのを通り越して,頭の中が真っ白になってしまった。言葉が出なかった。なんといってもまず読めない。キャッチフレーズにはローマ字が振ってあってそれで始めて「かぶく」と読めるのだが,これはいかんだろうと思った。そもそも論として「かぶく」というのはあまりいい言葉ではない。漢字では「傾く」と当てるのだが,私が愛用している旺文社古語辞典によれば,「勝手気ままなふるまいや異様な身なりをする。浮かれ戯れる。」とあって,どう考えてもネガティヴなイメージの言葉である。日本一を目指そうというチームのキャッチフレーズには,ふさわしいとはどう考えても思えない。それを理解して語源に選んだのかどうか。どうも軽い乗りで使ったような気がしてならない。それでも少しは当て字が洒落ていればまあいいかとも言えるのだが,カタカナの「カ」に漢字交じりという,まさに「奇態」としかいえない当て方である。どうも洒落てるとは言えない。しかし,もっと奇態なのはロゴである。本当にあんぐりとするほかなかった。これが来年中新聞やスタジアムにあふれるかと思うと,非常に暗澹たる気分がする。だからこそ思う。これを他山の石として,せめて自分はもっと言葉に拘ろう。美しい日本語といわずとも,一つ一つの言葉に拘っていこう。たとえ自分が「傾奇者」であるという自覚があるにせよ。言葉は大事に使いたきもの。BlogPeopleSIGMA People(お知らせ)「2016カープ反省会兼忘年会」について,興味のある方は専用窓口であるこちら,もしくはこちらから。(告知)姉妹サイト「ろー・ふぁーむ・かるぴおANNEX」もよろしくお願いします。