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テーマ:今日の出来事(292834)
カテゴリ:教授の追悼記
歌手の大橋純子さんが亡くなりました。享年73。このところ谷村新司さん、もんたよしのりさんと、70代で亡くなる歌手が続いておりますが、一体どうしちゃったのでしょうか。
大橋純子と言えば、名曲「シルエット・ロマンス」なわけですが、この曲がどういう曲なのか、知っている人は意外に少ない。 これはアメリカ文学史と係わる話なんですが、ハーレクイン・ロマンスという女性向けロマンス小説叢書がありまして、今も人気があるのですが、1970年代、これがアメリカでバカ売れしていた。 で、あまり売れるので、ライバル会社が登場。それがシルエット社で、ここはエロティックなロマンス小説が売りだったのよ。 ところが当時のハーレクイン・ロマンスは、エロティックな描写が一切ない仕様になっていたので、その点、シルエット・ロマンスに市場を食われちゃいまして。それまでアメリカのロマンス小説市場を独占していた観のあるハーレクイン社はもう大変。 で、ハーレクイン社は1979年から日本市場にも進出していたのですが、当然、シルエット・ロマンスもすぐにこれに追従し、サンリオと結託して1981年に日本上陸を果たします。だから、ハーレクイン社とシルエット社の主導権争いは、アメリカだけでなく、日本でも繰り広げられたわけ。 で、シルエット社が、自社のロマンス本を日本で売るための市場戦略として採用したのが、「シルエット・ロマンス」という販促ソングで、それを歌ったのが大橋純子だったと。 だからね、あの「ああ、あなたに恋心盗まれて、もっとロマンス仕掛けてきて」という歌詞は、「シルエット・ロマンス叢書は、日本のハーレクイン・ロマンス叢書のファン層を全部盗みますよ。これは我が社がハーレクイン社に対して仕掛けた、ロマンス戦争なんですよ」という宣戦布告の意味だったのよ。 ほーれ。知らなかったでしょ。こういう話がもっと読みたい人には、こんな本がおススメよ! これこれ! ↓ ハーレクイン・ロマンス(930;930) 恋愛小説から読むアメリカ (平凡社新書) [ 尾崎 俊介 ] というわけで、大橋純子さんは、私のロマンス小説研究にとっても大いに重要な人だったのよ。 大橋さんは、歌唱力あったからね。今、ああいう声量のある人っていないじゃん? 大橋さんは若い頃、尾崎紀世彦の前座みたいなことをやっていたけれど、あの尾崎紀世彦に負けない声量だったもんね。 まあ、昭和の歌姫がまた一人この世を去って、寂しい限りですなあ。 大橋純子さんのご冥福をお祈りいたします。合掌。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 11, 2023 01:29:44 PM
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