|
カテゴリ:教授の追悼記
建築家の槇文彦さんが老衰のため亡くなりました。享年95。
槇さんは、慶應義塾とも縁が深くて、ちょうど私が日吉から三田に進学した時に、三田に槇さんが設計された新図書館が完成しまして、その新しい図書館に真っ先に足を踏み入れることになった。 で、学部を卒業して大学院に進学したタイミングで、三田に新大学院棟が完成し、これまた槇さんの設計だった。 だから私は槇さんのデザインした建物で常に勉強していたことになるわけですよ。そういう意味では、私は案外、槇さんのデザインの何たるかを、身をもって知っているところがあるんですわ。 もっとも・・・ これはもう個人の感想になってしまうのですが、槇さんの設計した建物には、なんと言いましょうか、有機的な陰影がないのね。無機的というか、清潔というか。といって、じゃあ、モダンなのかというと、そうでもない。モダンというのは、機能第一で、意味のないデザインはしないものですが、槇さんの設計する建物には、意味のないデザイン的装飾が随所にあるし、建物全体としての統一性もない。なにか別種のものを寄せ集めたようなところがある。そういう意味では、ポスト・モダンなのよ。 で、私はポスト・モダン的な建築物が大嫌いなの。だから、薪さんのデザインも苦手だったかも。それは私だけでなく、慶應の中でも槇さん設計の建物については賛否両論がありました。 だけどね、そうは言っても、そういう環境の中でずっと学生時代・院生時代を過したので、その苦手さにも懐かしさがあるわけ。 ということで、苦手でありかつ懐かしい大学の図書館や大学院等を思い浮かべながら、槇さんのご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 11, 2024 09:52:12 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の追悼記] カテゴリの最新記事
|
|