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釈迦楽

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August 21, 2024
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カテゴリ:教授の追悼記
今日は松岡正剛さんとか、石川好さんの訃報が新聞に載っていて、ちょっとビックリ。

 松岡正剛さんというと、いわゆる「編集工学」という言葉の発明者で、書評集『千夜千冊』でも有名。『千夜千冊』は要するに書評集だし、「編集工学」とは要するに一体何?となると、私にはさっぱり。そういう意味では、私は松岡正剛という人の良き理解者ではないのですけれども、学者ではない、作家でもない、哲学者でもない人が、なんとなくざっくり文筆家として存在できるという状況はとてもいい時代だったのではないかなと。

 それから石川好さん。日本人移民としての経験を『ストロベリー・ロード』という作品に書き残したことが、とにかく石川さんの業績でしょう。

 石川好さんは、一度、ご本人をお見かけしたことがあります。アメリカ文学会の全国大会で石川さんを特別講演に呼んだんですな。もう今から20年くらい前のことですが。

 その講演を私もちらっと聞きにいったのですが、その時彼は、アメリカのことではなくて、主に隣国のことを話しておられた。

 その時の石川さんのお話によると、隣国の辺境地には「農民」と呼ばれる人たちが三千万人とか四千万人の規模でいると。

 で、この「農民」というのは農業従事者の意味ではなく、文明とは遠く離れて暮らしている諸民族を指す言葉で、こういう人たちは現代文明を一切享受していない。テレビとかラジオもないし、新聞もない。だから、第1次世界大戦とか第2次世界大戦があったということとかもまるで知らない。文明とも世界史とも縁がなく、人間の原初の形で存在している。

 で、こういう人たちをも含めて統治しなければならないので、彼の国では民主主義などというものは無理。有無を言わせず上から支配するしかない。彼の国というのは、そういう事情を抱えた国なのだと。

 まあ、その時石川さんは、そんなことをお話になっておられました。私なんぞは知らないことばかりで、「ふーん」ってなもんでしたけどね。

 今日、石川さんの訃報を見て、そんなことを思い出した次第。

 石川さんは享年77、松岡正剛さんは享年80ですか。私だってあと二十年もしないうちに、彼らと同じ年齢になる。そう考えると、うかうかしていられません。とにかくやるべき仕事をして、人生を楽しまないとね。





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Last updated  August 21, 2024 06:51:14 PM
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