ぱた子の性格を例えると、
『かものはし』のようである。
かものはしは、ちょっとでも人間の気配がすると、
慎重になって姿を見せない。
時々、息をするために、
すいーっと水面に上がってきて、ぽかんと息をして、
すぐにチャポンと水の中に消えていく。
その、かものはしが、骨折をしたものだから、
とにかく、学校に行くのが恥ずかしいのだ。
どうしたの?どうしたの?
え~!骨折!?
大丈夫?大丈夫?
などと、騒がれるのが、どうにも耐え難いらしい。
子供なら、子供らしく、
ここ、折っちゃってさー!!コレ、ギブス。取り外しできるんだよー!
なんて、幼稚にやればいいのに、
それが無理なんだって。
師匠が、三角巾で肩から提げた方が、
人にもよくわかって、安全だよ!と、言ってくれたけど、
これ以上目立つことは、NG。
私は、とりあえず、余った毛糸で、
ギブスが隠れる、
リストウオーマーを作ってやった。
ぱた子は、
『骨折プライバシーカバー』と名付けて、
こっそりとつけて、
ようやく今日、登校した。
奇しくも、今日の午後は、
中学校の説明会。
昨夜のこと。
ぱた吉~、明日、ぱた子と母さん、中学校に行くからね。
と言うと、
え?来るの?
オレ友達に『妹が、スキーで骨折した』と、言ったから、注目だな。
『そりゃ、伝統だな』って言われたし。
えー!!
ただでさえ、恥ずかしいのに、
(ぱた吉の妹という存在でさえ)
やめてよー。
しかも、伝統って!!
(うまいこというなあ・・・)
骨の隙間が、ゆっくり埋まっていくように、
周囲の興味も、ゆっくり消えていくんだから、
静かに時を過ごしましょうか。
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