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カテゴリ:イベント & 旅行記
人間ドックのバリウム検査で、「体中部ポリープ」を指摘されました。精密検査を要すとのことだったので、たぶん単なる「泡」だろうとたかをくくりつつも、バンジー気分で人生初の胃カメラに挑戦してみました。
先週予約したとき、飲み友達の美人看護師に、 「鼻からか、口からか、どっちにする?」 と聞かれたので、 「どっちがお勧めなの?」 と聞き返したところ、 「そうねえ、近頃は鼻が人気よ」 とのこと。鼻からのほうが、おえっとなりにくくて楽だそうです。生検したあとに出血などのトラブルがあった場合には、口からの太いファイバーの方が処置しやすいそうです。 武士ならば、あえてつらい方を選んでみるか、という考えも頭をよぎったのですが、武士ならば、おえっとなって見苦しい姿を美人看護師に見せるわけにはいかないと思い直し、 「じゃ、鼻からにしとくかな」 と、ちっとも怖くなんかないよってふりして答えました。
そしていよいよ今日を迎えたわけです。 まずは麻酔です。やはり飲み友達のごつい男性看護師から、鼻の穴にチューブを突っ込まれ、キシロカインゼリー(局所麻酔)を注入されました。これがチョー気持ち悪い。喉の奥にたらーっと流れてきて、むせそうになるし、この段階ですでに涙が勝手にぼろぼろ流れてきてみっともないです。こいつと友達やめようかな、とさえ思えてきます。 まだ飲み友達ではない担当医師は、気軽な雰囲気で、慣れた手つきでファイバーを操作します。 ファイバーは口用よりもずっと細いです。鼻から喉にはいるときと、終わって鼻から抜けるときに痛みがありましたが、いったん入って胃の中でごにょごにょしているときには鼻の違和感も少なく、なによりもオエッとなりません。 だから、選べるときには鼻からにするのが確かに正解のようです。お勧めです。 でも、でも、でも、なぜか涙は止まりません。 ピンクの粘膜を露わにしてしまった羞恥心や、声帯や噴門や幽門が何の抵抗もせずに蹂躙されていく様子を目の当たりにした屈辱感が、そうさせるのでしょうか。とにかく、だらだらと勝手に涙が左頬をつたい続けるのです。 単に、左鼻からはいったものを左目から排除しようとする生理現象かもしれませんが。 苦しみなのか悲しみなのか不安なのかよくわからないつらさに耐えきれず、思わず背中をさする看護師の手を握りしめてしまいました。手を握ってると安心するのね、ほんとに。直接の肌と肌の触れ合い、これ、介護や看護でも重要ですよ、みなさん。
さてさて、小さなかわいらしいポリープが確かに2個あって、 「見えますかあ、ここにほら。過形成ポリープか炎症性ポリープで特に問題ないと思いますが、念のため生検しときますか?」 と聞かれました。つままれて引っぱられて血がにじむ光景を想像したら、これ以上の狼藉は許してなるものかと思えてきて、 「しないで、そのままでいい・・・」 と言ってしまいました。ファイバーは鼻からはいっているので、口はきけるのです。 そういうわけで、2個のポリープはポリ子とリプ夫と名付け、大切に飼ってあげることになりました。そのうち、二人からポリ太郎が生まれるかもしれません。 ただビビっただけじゃないかって? いや、それはまあ、そのぉ、まさか。拙者ってば武士だもの、出血なんて恐れるわけないじゃん、あは、あは、あははははは。とにかく、さっさと終わって欲しいんじゃあーっ!
ようやく無事に終了。 まずはドクターにありがとうを言い、次に手を握ってた看護師にお礼を言うため後ろを振り向くと・・・。 あれれ、美人看護師じゃないぞっ?! そうでした。最初からそれはわかっていたのです。それなのに、いつの間にか混乱しちゃって、美人看護師のつもりでこのおばさん看護師の手を必死に握りしめていたんだね。ああ、一生の不覚、もう二度と胃カメラなんて受けるもんかっ! 気を取り直し、ネクタイも締め直して更衣室を出ると、実は窓口にいた美人看護師が、検査後2時間は食べたり飲んだり禁止です、と説明してくれます。ついでに、今夜はお酒も禁止よ、ウッフッ、だって。 「ええっ!生検してないんだから飲むよっ!」 冗談だとわかっているのに、思わずムキになって反論してしまいました。みっともない姿をみられちゃったから、恥ずかしさやくやしさを隠したかったのです。 1時間くらい経つと麻酔がきれて唾が飲み込めるようになったので、禁を破って缶コーヒーを飲みました。一仕事終えたあとの男には、やはり缶コーヒーが似合います。 泣き腫らした目の痛みがやわらいでくるころには、もう一生受けないという決意はすでに揺らぎだし、担当看護師がかわいかったらまた受けてやってもいいかな、って思えるくらいに武士道精神も回復していました。昼はもりもり食べ、午後はバリバリ働きました。
まだ胃カメラを受けたことのない人達にとって、この体験談が何かの役に立てばいいのですが・・・。ダメかなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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