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January 21, 2005
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カテゴリ:2004年米大統領選
大統領就任式を中継したTV/ケーブルネットワーク各局が使った形容詞のうち最も多かったのは“soaring ((望みなどが)広がる, 高揚する) ”と、“lofty (気高い, 堂々とした)“だったと、Washington postのTVメディア関連のコラムニストTom Shalesが皮肉っていた。彼に言わせると、FOX News(ケーブル)などは“was scrubbed-up and dignified yesterday”だそうな。(washingtonpost.com. On TV, inauguration speaks for itself-At times, networks let beautiful pictures carry the day)

全部が全部・・・ではなかったかもしれないが、それにしてもTV/ケーブル各局の美辞麗句はなかなかすごいもんだと思った。NPRのOn The Mediaも「American Coronation(アメリカ式戴冠式)」と題したトップストーリーの中で、一部のメジャーTVレポーター達の中継ぶりがまるでオスカーのレッドカーペットの中継か、ホームタウン・パレードのライブレポートのようだったとシニカル。

昨日、宣誓式の中継の中でタイトなセキュリティの様子が言及されていたことをチラッと書いたが、今日新聞を読んでいて、厳重警戒だったのには、テロ対策だけでなくいろいろと理由があったんだ、と納得。

アンチ・ブッシュ派のパレードやら警官隊との衝突やらが、一番近いところでホワイトハウスからたった3ブロックの地点であったそうだから、ブッシュ陣営がピリピリだったのも無理はないというべきか。この一連の就任式を運営した人々にしてみれば、無政府主義者のデモ隊が大統領パレードの列になだれこんだり、全米に流されている中継放送カメラの目前でカットしようのないシュプレヒコールをされるのは絶対に避けたいわけで、心配なのはテロリストだけではなかったということだ。

ちなみに日本では、このデモ隊やらの様子が映像で流れたらしいが、アメリカのTV/ケーブルネットワークの、少なくともプライムタイムの映像ではほとんど目にしなかった。ニューヨークタイムズもワシントンポストも、CBS NewsもPBSのNews Hourも、紙面やネットではかなり強烈な写真がでていたが。

AP通信のレポートによれば、抗議運動に参加した人の数は、ベトナム戦争時以来の規模だったという前回、2001年の大統領就任式よりはずっと少なかったらしいが(そりゃ、そうだろう。前回は大混乱と物議の中での就任式だったし)、それでも『ワシントンD.C.を訪れた人で、この反対派を見かけなかった人はただの一人もいないだろう』というくらいにはやっていたらしい。

その抗議運動の様子をメジャー映像メディアではほとんど見かけないほどまで持っていったのだから、ある意味すごい。アメリカのTVジャーナリズムを嘆くべきか、ブッシュ陣営のメディア対策のパワーに感心する(或いは呆れる)べきなのか。上でも引用した、メディア批評分析ラジオ番組のNPROn The Mediaは、就任式に拘るメディア対策について、ワシントンD.C.ロビイストの活動っぷりと“企業の底知れぬポケット”について言及していた。

メディア、特に民間メディアから流れる情報はバイアスのかかる可能性がいくらでもある。メディアが同業他社との競争の中でより有利なニュースソースを求め、一方番組を制作し局をまわしていくためには広告主が必要で、その広告を稼ぐためには、広告主にウケるものをつくるか、広告の価格設定のもとになっている視聴率を稼ぐため視聴者のマジョリティにウケるものにするのか、というせめぎあいの中にあることを考えれば、なかば当然の現象とも言えるのではないかとも思ったりする。

商業メディアの現実とそれを利用する倫理すれすれのメディア・コントロールの手法を“仕方がない”と言いたくもないが、“客観的報道の徹底”とかクリーンなメディア・リレーションズなんて理想主義を掲げるほどナイーブにもなれないとすると、残るのは、情報を受け取る側が、そのバイアスに対する認識があるかどうかにかかってるんじゃないだろうか・・・と、また延々、答えのないことを考え続けている。





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最終更新日  January 23, 2005 07:28:37 AM
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