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カテゴリ:エンターテイメント
先日、上巻を読み終えた奥田英朗さんの『サウスバウンド』
下巻も一気に読み終えちゃいました。 (感想アップが遅くなってしまいますた…) ”元過激派”の父親と、 その父親の決心に腹をくくった様子の母親と、 THE”今どき少年”である主人公たち家族は 沖縄の島へと移住します。 そこで始まるのはまさにサバイバルの日々。 ジャングルの中の廃墟を手直しして 島民からもらった家財のみで 自給自足の生活を始める一家。 東京ではなーにもしなかった父親が 汗水流して畑を耕したり、漁に出たりと生き生きとしている。 「生まれて初めて働いている父を見た。逞しい筋肉が 伊達じゃないことを知った。父を見直したのだ。」 どちらかというと毛嫌いしていた父親が 誇らしくも、尊敬できる存在に主人公の中で変わってきます。 上巻の、東京のど真ん中で繰り広げられる ドロドロした都会の日々と一転して 沖縄でのどっぷり自然につかった毎日。 両者がなんとも対比的で、より沖縄の島での毎日が くっきりと鮮明に浮き上がっています。 その中で、家族の絆もどんどん深まっていく。 「国がなくてもいいのではないか。そんなことまで思ってしまった。」 というほど、この本を読み進めていくと 自分の周囲にある虚栄心や欲やエゴとかどうでもよく思えてきてしまったり。 「二郎は方の力が抜けた。抜けて初めて、これまでずっと 力が入っていたことを知った。この解放感はなんだろう。」 今の時代に生きる私たちは 常にこうやって肩に力、入ってしまっているんでしょうね。 下巻の後半では、 「誰かが戦わない限り、社会は変わらない。 お父さんはその一人だ。わかるな。」 と再び、父親が国や組織というものと戦い始めます。 これが結構、ファンキーで、 母親も実は元”過激派”で、一緒になって抵抗してて カッコいい。 理想の夫婦かも!って思いました。 この戦いを周りで見ている人たちの描写。 「戦う人間を、安全な場所から見物し、したり顔で論評する。 そして最後に冷笑する。それが父以外の、大多数の大人だ。」 ドキっとしましたね…。 結末がまたイイ!のですが ここでは触れないでおきますね…。 意外とラブストーリーでもあるのか!?という 心が温まるラストにまたもすがすがしさを感じつつ。 『産後白書』ではないけれど、 父親になった人も必読!です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.11.06 15:15:22
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