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カテゴリ:がちがちハードボイルド
結城充考の〈クロハシリーズ〉の長編第3作を読んだ。
〇ストーリー 所轄署の警務課という事務職に追いやられたクロハは、イベントの手伝いや区役所からの相談に応じたりしている。一方、県内では未成年者の連続殺人事件が発生し、特別捜査本部が設立される。さらに署では組織的な捜査費用の不正経理が噂され、県警から異動したばかりクロハは距離を置かれてしまう。区役所からの依頼をこつこつと追いかけていた彼女は、それが連続殺人事件と繋がりがあることを知り・・・ ーーーーーーーーーー 〈クロハシリーズ〉の4作目、長編としては3作目だ。前の作品から5年ほど時間を空けての刊行となっているが、作品世界の中では時間は繋がっているようだ。 読み始めればシリーズ独特の寂寥感とサイバーパンクの仕掛けがあり、すぐ感覚が戻ってきた。 同じ作者でよりアクションに満ちた《イルマシリーズ》を読んでいたので、クロハとイルマの2人のヒロインの対比がより鮮明に楽しめた。 この2人はぜったい相性が悪いので、2シリーズのクロスオーバーはしない方がよいと思う。余計な心配だけど。 ーーーーーーーーーー 今回のサイバーパンク要素は『ポケモンGO』の元となった『Ingress』と思われるゲームが登場し、それが捜査のキーとなる、というものだ。 ARゲームをミステリーに登場させるのは他にもあったが、このシリーズは現実との融合が上手い。リアルなのにサイバーパンクという不思議なシリーズだ。 ーーーーーーーーーー 犯人の動機は行き過ぎだと思ったが、犯人が利用していた環境は切実だ。複雑な感情の揺れは作品では直接描いていないが、状況としてはゆっくりと丁寧に作り上げている。 ラストはこのシリーズでは珍しい展開だった。こういうのも良いかも。 新作が待たれる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.09.22 11:06:09
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