『移動都市/モータル・エンジン』を観た
移動する都市で生活する人々を描いたSF作品を観た。〇ストーリー60分戦争から1,000年後,人々は地上を移動する都市の上で生活し,都市は交易,奴隷狩り,そして他の都市を食らうことで生き延びていた。最大の都市のひとつロンドンの歴史家見習いのトムは,都市が飲み込んだ小都市の少女・へスターが,上司のヴァレンタインを刺すところを止める。だが逃げる少女とトムは,ヴァレンタインにロンドンから突き落とされてしまった。荒野で2人きりとなった彼らの運命は・・・ーーーーーーーーーーなんと言っても〈移動都市〉をビジュアル化した迫力が素晴らしい。普通の町と思えていた場所が,ロンドンの襲来により,次々にがしゃがしゃと別の形状となり驚きの動きを見せるのが,この映画の一番の見せどころだと思う。次に,トラファルガー広場,セントポール寺院,ビッグベン,大英博物館などのモチーフを用い,さらに”他の都市を食らう”という設定に合わせてデザインされた1,000年後のロンドンが面白い。隅々まで丁寧に作られていて生活感がある。さすがだ。ーーーーーーーーーーストーリーは決して悪くないのだけれど,緻密に構築された物語と比べると,奥行きが不足している印象だった。主人公の少女に背負わせる運命が重過ぎるし,一点集中過ぎるだろう。せっかく多くの登場人物がいるのだから,もう少し群像劇として描いてもらいたかった。ロンドンには良き人もいただろうに。ーーーーーーーーーー個人的にもやっとしてしまったのが,空中都市〈エアヘイブン〉の登場だ。もし空という選択肢があるならば,それでいいじゃない。ロンドンを恐れる必要はないし,東の城壁の意味もなくなるよね。この世界は人々は地面い縛られているだと思っていたのになあ。ーーーーーーーーーーあと,中途半端なアクションはやめた方が良かった。ファッショナブルな戦いなんて,生き延びるのには不要だ。泥臭く,こそこそと勝つのがこの作品世界に合っている気がするなあ。せっかくの素晴らしい世界観。原作はシリーズ化されているのだから,映画も続編を製作してもらいたい。